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『ゴーストの条件』(村上裕一/講談社BOX)

『ゴーストの条件』(村上裕一/講談社BOX)

クラウドを巡礼する想像力

本書の目的は「キャラクターの哲学」の展開であり、その
目標は「ゴースト」という概念のプレゼンテーションにある。

という始まり。「ゴースト」とは何か。
・複数化した集合的無意識
・クラウド化した二次創作(空間)の表象
・自立したキャラクター
・中間的共同体
・神でもなく、人でもなく、単なるキャラクターでもないもの
・創作をエンパワーする神秘的なツール
・新しい現実感の象徴

などと箇条書きでの列挙が序文にあり、さまざまな作品を通して
論が展開していく。
最初始まるまでがちょっとぎくしゃくするかな。具体例からの話は
わかりやすい。キャラクターというこれまでの概念からははみ出す
ような、今までない生まれ方をするもの、「ゴースト」。
初音ミクとかやる夫の話なんかはふむふむーと思う。私はよく知らない
ところだけれども、一応たぶんついていけた、と思う。

んでも次、「水子の倫理」になると、それは生まれなかった子ども、
ここでもあちらでもないところのもの、として。その具体例が
美少女ゲームとかノベルゲーム?メタゲームみたいなところの
作品群、ひぐらしとかですら私は手をつけたことがないので、具体例が
具体に見えなくて、ううーん、となんか私には無理っぽい気がした。
もちろんかなり丁寧にゲームの話を説明してくれているのでまるで
わからないわけじゃない。なんとなくわかる。でもやっぱりその作品を
知ってることは前提、という感じ。ま、そういう作品のことを知らない
人はこの本そのものを読まないだろ、関係ないだろ、という感じかなあ。
そして最後の方、やけに希望のほうへ向かうのがちょっと。
もちろん絶望と希望ということで、本の結末としてはこう締めるのは
まっとうな感じだけど、なんかやけに、若いなあと思ってしまった。
それは私がこのごろやけに自分を年寄りだ、と思いたがっていること
なんだなと思う。

メタメタメタだったり、もの凄く複雑なことになっていってるのね。
東浩紀のをいくつかは読んできてるので、ぼんやりとはわかるけど。
『クォンタム・ファミリーズ』は読んでるので、それ言ってることは
ふむふむと思った。
まどまぎの話とか。

すべての物語を祝福しよう。という「終わりに」は、こんなにも
四苦八苦してあれもこれも考えつくして、そうなるか、というのは
ちょっと感動的かも。がんばれよ、と思う。
たぶん全然理解はできてないだろうけれども、読んだのは面白かった。

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