『邪悪』(ステファニー・ピントフ/ハヤカワ文庫)
『邪悪』(ステファニー・ピントフ/ハヤカワ文庫)
1905年、ニューヨーク州ドブソンで起きた事件。
ウィンゲート家に滞在していた若い女性が殺害された。ひどく残酷に。
切り裂かれ、何度も殴られ、あたりに血が飛び散っている。髪が切り
とられていた。
小さな町。12年ぶりの殺人事件。赴任してまだ半年足らずの若い
警官であるサイモン・ジール刑事が捜査にとりかかる。
このあとシリーズになるらしく、三作目までは書かれているらしい。
翻訳は2作目が出たところくらいみたい。
心に影を持つ30歳、もとはニューヨークでばりばり働いていたらしい
刑事が、田舎で鬱々と暮らしていたところに起こる難事件。
事件から間もないのに、突然届く、協力したいという知らせ。
コロンビア大学で犯罪研究をしているという、アリステア・シンクレア教授。
二人で協力して容疑者を追う。
時代が昔で、指紋をとる、ということすらまだ一般的ではない、新しい
技術、というあたりがちょっと面白い。
犯罪研究っていうとなんかFBIプロファイリングみたいな感じだけれど、
(実際現在のそういうのも参照にはしたみたい)当時にもそういう研究は
あった、というのは事実みたい。
アリステアが富貴層で、微妙に胡散臭い(笑)
ジール刑事が心の傷があるとやらで、微妙に辛気臭い(笑)
大学の研究室と、ほとんど一人でやってる警察の刑事、というとりあわせ
で、そういう時代だから、ってことでいいのか、なんなのかちょっと私は
戸惑いがあった。
やっぱつい、鑑識呼んでー、とか、刑事が一人でどんどん捜査ってありなのか?
とか、そういう余計なことがちょっと頭をよぎる。昔だからいいのか。
前半のほうはなんだかまどろっこしい感じがしたけれども、後半にはだいぶ
ぐいぐい読める。事件が起こって捜査の糸口をもとめて右往左往で何もわから
ない状況から、犯人に迫る、ってなるわけで、前半がまどろっこしいのは
仕方ないか。
これ読んだ限りではあんまりどの登場人物も魅力的でもなく、事件に引き込ま
れるほど面白くもなく、ふむふむと平熱で読み終わり。
2作目も図書館予約しているので一応楽しみにしておこう。
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