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夏の文学教室「いのち」を語る

7月30日に、日本近代文学館の、第48回夏の文学教室に行ってきた。
以下、あくまで私個人のメモとして覚書。

一時間目。島田雅彦。「Is life short or long?」

震災の二日後に、50の誕生日を迎えました。という話から。ちょっと
文学的感慨にふける、ということで。近代文学の先輩、というのは、
みんな若死の人が多くて、と言う話。近代文学は青春文学なんですね、と。
谷崎とか永井荷風なんかは例外的に長生きで、老人文学をつくったけれど。
漱石はわりと長生き、とはいえ、49歳だった。その年も越え、私が
死んでももう若死にとは言われないですね。
葬儀の話。若い子と付き合っておこうと、やさしくしてる。この頃は
「仏の雅」と呼ばれてまして。(って、(笑))
中上健次の葬儀は人が多くて、偲ぶ会はサウナ状態だった。とか。

さて、と、日本は金持ちの国、だったことからこのごろ転落してる。
お金の使い方、の話とか。
人の欲望、のあり方として、永遠に若く、美しく。不老不死の願い。
しかし、「永遠」というのは人の脳がつくった観念。自然界ではありえ
ないこと。
老人の財産は未来へ投資するしかない。あの世にはもっていけませんから。
快楽、を人が感じれられる量は決まっているのではないか。
日本人の志向として、ナチュラル志向。風流、を好む。
資本主義の破綻した殺伐とした世の中、ナチュラル志向、風流のほうへ
戻るのではないか。
災害の多い国。「国破れて山河あり」。自然回帰。縄文という原点。
自然のサイクルを断つ、帰るべき自然が破壊されているのが原発問題。
チェルノブイリはまだ汚染されているけれども、森に戻っている。
放置されたスタジアムのフィールドに木が生え森になり、鳥が戻っている。
フクシマの回復そのものをビジネスとしていく方向があるのではないか。

ポスト3.11の文学は?
ほんとはヘタレですけど、アウトサイダーだから、っていっちゃう。
そこに私の倫理がある。古代に思いをはせつつ、未来を思う。
システムの寿命、サイクルは6年。12年。60年。長くは持たない。
心が初期化されて、家族とか原点に戻ろうとしている。
偽善と売名は十分やったので、これからはアウトサイダーに、不謹慎な
ことを、言いたいな。書きたいなと思ってます。
古代中国の古い神話。
昔人は、不老不死だった。年をとると皺がよってしわしわになって、脱皮
する。生まれ変わる。しかしその脱皮はとても苦痛を伴うので、神様に
訴えて、脱皮はなくして、死を与えてもらった。
個としての人間は有限、となったが、類や属としての人間は不滅。
理性や悟りは、受け継がれてゆき、不滅になるのだ。

とまあ、ものすごく大雑把に私の個人的メモの一部として。
皮肉もあり、笑いもあり、お話盛りだくさんで飽きる間がなく、なにより
とってもいい声。ああうっとり。相変らず見目麗しく、年を重ねてもますます
素敵です~。面白かった~。大好き~。満足~。

二時間目。堀江敏幸さん。「「いのち」のきざす言葉、言葉にきざす「いのち」」

最初、先の島田さんの話をうけての、復興書店の話とか。偽善、といえるのは
本人だからですね。ということで。震災後の朗読会などの話とか。

言葉を抜いた大人たち、という話。
A→B→Cというのをきちんと話さず、いきなりAからCになったりする。
それはおかしい。
まどみちおさんの詩の話。自作の話。
立ち返るときに言葉がたよりになるのではないか。
というようなお話。
私は堀江さんの本を読んだことなくて、よく知らないのですが、ソフトな話しぶり
の雰囲気はイメージする著作の感じだなあと思いました。

3時間目。岡井隆。「いのちの詩歌」
このごろは何の話をしても震災以後、ですね。というところから。先日の大会でも
新聞でも、震災の短歌が多い、というような。海、を読むのが違ってきますね、と。
『二十歳のエチュード』のお話。
表現や言葉に対する絶望。
今、何かを言う時、やすやすと表現できるような錯覚があるのではないか。
命は死のレッスン。生の後ろには必ず死がある。

宮澤賢治の詩。
「永訣の朝」を丁寧に読み解いてのお話。
賢治と妹としとの、互いが二人だけど一人、半身であるよな関係のお話。
賢治の詩としてのレトリック。詩歌は挽歌。
人は、他人の死しか経験できない。
鷗外、
一日、一篇の詩を読んら、そのあと本は閉じて、一日その日はその詩のことを
ゆっくり考えてほしい。
詩が、いのちをもし反映しているとしたら、めんどうな手続きを経てゆっくり
向き合っていくもの。

岡井先生も素敵なやわらかい声でいつ聞いてもやっぱり何度もうっとり。
医師としての経験をふまえての話、医師時代の経験、淡々とお話になるけれど
すごく迫力があってこわくなる。
死を、長い時間たくさん見てきた人なのだと思う。
賢治の詩のレトリック、について、感情的なことだけでなく、レトリックの
丁寧な解説面白かった。大好き。大満足。

すきな人の話をたっぷり聞けてとてもうれしかった。言葉。詩。文学。大好き。

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