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『竹とヴィーナス』(大滝和子/砂子屋書房)

『竹とヴィーナス』(大滝和子/砂子屋書房)

大滝さんの第三歌集。2006年までの作品から430首ほど。
出たのは2007年10月。

どれもこれも素晴らしくて素敵で、付箋をたっぷりつけている。凄い。
宇宙規模の感覚がすんなり日常に混ざっていたりする。そのすんなり
具合が凄い。数学がお好きなのかしら。これを読むまで気づかなかった。
すごい好き。
壮大な、でも大地につながっているような身体感覚。女なんだなあと思う。
女神だと思う。
父の死の歌が度々出てくる。死者としての父がいる感覚。これも女神。
紀記の感じの女神。キリスト教的モチーフも出てくるけれども、やっぱり
実感としては日本の神話につながるのかなあと思う。
相聞の歌も素敵だった。ベタつく感じは全然なくて静謐。素敵だなあ。
なんかでも、思ったよりもわかりやすい歌のような。歌集にまとまると
そうなのかな?この時期がそうなのかな?読み比べていきたい。

いくつか、好きな歌。いっぱいありすぎるんだけども。

 腕時計のなかに銀の直角がきえてはうまれうまれてはきゆ
 太陽とわれの年の差おもいつつ肩胛骨を灼かれておりぬ
 いくたびも万葉仮名を羽化させてきみとわれとが抱きし国あり
 「片づける」に殺すの意味があることを想いつつ部屋片づけている
 片瀬から新宿へゆく瞼あり電車のなかに闇うまれしむ
 みずからの脇を洗えりキリストは息絶えし後ここを突かれき
 君という冬にむかいて珈琲を飲みいる夏のひるさがりかな
 桃は鍵もたぬものなりひそやかに舌の上へ迎えるものなり
 素足にて夜のしずけさに昇りゆく階段はふと葡萄のごとし
 ビッグバンのころの素粒子含みいるわれの手なりや葉書持ちおり
 遮断機にとどめられつつみずからの家の外灯艶なるを見る
 きょうもまたシュレディンガーの猫連れてゆたにたゆたに恋いつつぞいる
 冥王星(プルートウ)と海王星(ネプチューン)の内外(うちそと)の位置変わる日に売られいるパン
 紅ふかき薔薇へ寄りゆく十指には関節という不可思議ありて
 躰とは脈うつ大陸それぞれの孤独な奴婢に統べられながら
 ウエストも青空もまた締められて春風さむき街あゆみゆく
 丸善へ父の匂いをかぎにゆく死にたる父よ我はさすらう
 転向者の瞳のようなドロップが路傍にころがりながら早春
 腰かがめ髪洗うときなにならむ脱皮の蛇のごとく苦しき
 スカートへもう天(おおぞら)がやって来たなんと風の強い日だろう
 われの尾が太陽系超え伸びてゆくもの想いせりつめたき人よ
 日が短くなったね(なったね)自転車のライト、御先祖さまはいないね

いっぱい写してしまった。()はルビ。(ルビじゃないのも一首ある。
漢字が一個違うのもある)
もっともっと、好きなのいっぱいー。改めて読むとますます大滝さんの
ファンになった。
 

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