« 『坊っちゃん』(夏目漱石/夏目漱石全集2 筑摩書房) | Main | 『二壜の調味料』(ロード・ダンセイニ/ハヤカワポケットミステリ) »

『マイナス・ゼロ』(広瀬正/集英社文庫)

『マイナス・ゼロ』(広瀬正/集英社文庫)

浜田俊夫はお腹をすかせた中学生だった。
終戦目前。空襲警報の中。
それから18年後。ある約束を果たすために、浜田俊夫は当時住んで
いたところのお隣、へ、やってきた。

タイム・マシン。タイム・トラベル。
ちいさな好奇心から取り返しのつかないことになり、過去に取り残される。
自分が同じ時に二人になってどうなる?とか、自分が自分に対面したら
どうなる?というのは、この世界ではありなんだな。
及川美子さん、伊沢啓子さん、小田切美子さん、そ、それはーそんなん
までありなのか、と、びっくりした。う~ん。
そしてとばっちりの巡査はどうなるの!?と気になった(笑)

この話が書かれたのは昭和45年か。
そんで、舞台設定のメインはその10年前くらい。そして過去は、戦前、
昭和初期、というあたり。過去の時代について、金銭感覚とか技術の比較
とか、かなり念入りに調べて細々書いている。飛んだ先の過去が三十年前
くらい、というのはなかなか絶妙な設定だなあと思った。めちゃくちゃ
時代錯誤にもならず、でも間に戦争を挟むから十分に劇的。でもこの本
全体のトーンとしては、なんとなくほのぼの。ふわっとしてる感じなのは
この著者の味わいなのかなあ。
もともとのタイム・マシンの作り手の未来人?な先生は何者なんだとか、
気になることが残る~。でも面白かった。
発表された当時に読んだら、もっと身近でわくわくしたろうなあ。
銀座とか知ってる人には懐かしいとかすごく共有するとこが多いだろうし。
今読んでも古臭いって感じは全然なくてすいすい面白い。
これが面白い、って評判をよく見ていたのでようやく読んでみたけど
納得だった。
解説を読むと、星新一が思い出話を書いていて、わりと若くして、なのか
短い活躍期間しかなく亡くなったのだろうとわかる。惜しまれたんだろうな。
それでも作品が残る。古びないって凄いなあと思った。

|

« 『坊っちゃん』(夏目漱石/夏目漱石全集2 筑摩書房) | Main | 『二壜の調味料』(ロード・ダンセイニ/ハヤカワポケットミステリ) »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« 『坊っちゃん』(夏目漱石/夏目漱石全集2 筑摩書房) | Main | 『二壜の調味料』(ロード・ダンセイニ/ハヤカワポケットミステリ) »