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2006年8月

TITLE: ワイルド・キャッツ 完全版
AUTHOR: シキ
DATE: 08/31/2006 22:41:01
STATUS: Publish
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BODY:
『ワイルド・キャッツ』完全版(清水玲子/白泉社)

ぼっちゃまのために。ネコになる!

という、シーザーはメスのライオン。龍一ぼっちゃまはめっちゃめちゃ
かっこいい~♪

花ゆめコミックスでも買ってたと思うけど、今度はおっきいサイズで。
表紙も中のカラーもうっとりうっとりで、素敵すぎる~。
シーザーはおとぼけでかなりギャグなんだけど(^^;
トングの話し(盲導犬になるの)何回読みかえしてもジーンとくる。

ずっと一緒だよ。

ずっと、一緒だよ。ずっと見てる。
ずーっと一緒だよ、って。私もペットになりたいなあ。
シーザーにも髪飾り。よかった。

フラワーズ という、イラストもあり。
やっぱり清水さんの絵はきれいだなあ。きれいだなあ。きれいだあ。
うっとり。
すてきです。
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TITLE: 乙女入門
AUTHOR: シキ
DATE: 08/30/2006 22:13:26
STATUS: Publish
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BODY:
『乙女入門』(荒川洋治/廣済堂)

ぼくのヒロインチェック
というサブタイトルもついていました。

乙女入門かあ。野ばらさまの本みたいなタイトルです。でも荒川洋治。
新聞とか雑誌が初出で、短いエッセイをいくつかカテゴリ分けして一冊
にしました、という本ですね。
ヒロイン。ヒロインかあ。乙女かあ。
とはいえ、乙女のための、というよりは、オジサンが見たオトメたち、と
いう感じでしょうか。
ときどきちょっとだけえろい(^^)そうか、そうだね。お尻がすきなん
だもんなあと思いながら面白く読みました。
ん~。
詩人っていったら霞みを食って超然としてるイメージだけど、(それは
仙人。。。)ちゃんと俗っぽいなあ。
でもちゃんと、詩人っぽいなー。
この飛んでいっちゃう感じがなんか、よくわかんないけど詩人なのかあと
勝手ながら納得しちゃう気がする。素敵だ。

1 乙女の言葉
2 乙女のからだ
3 乙女の暮らし
4 テレビと乙女
5 本と乙女
6 外国と乙女

1992年と1993年頃に書かれたものばかり、かな。書き下ろしも少し。
合同結婚式の話しがあって、ああ、あったなあと、思い出してみたり。

手紙を書いてはいけない人がいるの。というのが一番衝撃的でした。
あー。
そうか。
私は大丈夫だろうか?
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TITLE: 漱石のあしあと
AUTHOR: シキ
DATE: 08/27/2006 20:02:50
STATUS: Publish
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BODY:
日曜日にお休み。ひさしぶりでうれしい。じんわりと感動。

子規記念博物館へ行った。
「坊ちゃん百年 漱石のあしあと」を見に。二回目です。
二回目なので気に入ったもの重視で。二回目なのにあの狭い展示室に
一時間以上ねばる。はた迷惑な客でごめんなさい。。。

虚子のことを見守ってやんなさいよ、と子規に返事書いていたり、奥さんに
子どもの名前はあんなこんなでいいよ、と、面白く、やさしく書いてたり
するのが素敵。いいな~~。女の子で二文字だったら雪江、浪江、花野なんて
のもあるよ、だって。今でも使える名前じゃないですか。花野ちゃんなんて
すごく可愛いかも。いいないいな~。
で、やっぱり、「クリスマス」というのに初めてでくわした、という
子規へのクリスマスカードが一番お気に入りです。いいなー。すごくいいな。
そして、猫 の、出版の献辞?みたいのに、子規に捧げる、みたいに書いて
あるのを眺めまくって感涙。死後4年たってのこと、かな。
もちろん四六時中子規のこと考えてたってわけじゃないだろーけど、まあ、猫は
発表した雑誌つながりでサービスもあったのかもしれないけど。でもやっぱり
なにかと折につけ、漱石は子規のことを思い出し、考えはしたんじゃないかな。
手紙を書くつもりが、忙しくて書かないでまたそのうち、と思っているうちに。
「子規は死んで仕舞った」。昔は寿命も今程ではないにせよ、35歳の同級生の
死はやはり早すぎる。もちろん病気であることはわかっていたし、長くはない
というのもわかってはいただろうけれども、それでも、まだ死んでしまいはしない
だろう、と、思っていたろう。
さらりと、子規はなんというか知れぬ、てな感じで書いている一文なんだけど
そのそっけなさがものすごくぐっときます。
35歳。私今同い年なんですけどねえ。さて35歳でもう来月死ぬとしたら、
わたしはなんてなにひとつ成し遂げていないことでしょう。んー。やれやれ。

図録も買ってしまいました。
前回は本物を見ただけで満足してたんだけど。今日見本をじっくり見て、やっぱ
本物とは色みとか違うんだよなあとか思ったんだけど、手紙の全文とか写真と一緒
に載ってるし、クリスマスカードも載ってるしなあ。うーー。
葉書が大きく載っていて逆に違和感が、とか思いつつ。これはこの機会じゃないと
買わないか、と思って。
予定外の出費(^^;給料日まであと三日、耐えろ自分~。
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TITLE: 照柿 上下
AUTHOR: シキ
DATE: 08/26/2006 22:52:20
STATUS: Publish
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BODY:
『照柿』上下(高村薫/講談社文庫)

赤い服を着た女が飛び込んだ。
その電車に乗っていた合田雄一郎は直前、もみあうようにしていた男と、
離れてゆく女の姿をとらえていた。
狂気の暑さの、八月。
変調を、きたしていた。

ドストエフスキーの『罪と罰』のような作品を、という依頼にこたえた
この『照柿』だそうです。ああなるほど。と、とても納得。
んー。個人的感想としては一気読みしたくなるぐいぐい度は『罪と罰』
だと思う。ドストエフスキーより重厚、とか思うのって。えーと。
罪と罰 は、やっぱり若者が主役だから?こっちはメインがいずれも
30代半ば。抱えてる個人的事情がなんか重苦しいかも。。。働いてるし。

工場での仕事の熱がのしかかってくる。八月の暑さにむせかえる。
野田の不眠。眠らないまま突き動かされていく自覚のない苦しさに
追い詰められて、読んでいる自分まで不眠に陥っているかのような錯覚がする。
キツい。
合田の変調、も。妄執も。もどかしくてたまらない。
最初、さほど重大事件でもなさそうなのに、こんなになっていくなんて。

こんなに暑いからか。
こんなに眠れないからか。

野田達夫を、ゆっくりねむらせてやってくれ。

あとやはりたまらないのは、どーしてこうも色気のある男同士の関係なのだ~
というところ。メロメロの妄想もとまらず。
読みごたえたっぷり、満足でした。

でもこの読んでいる最中の苦しさ。。。高村作品にはやはり気軽には
手が出せないな。。。
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TITLE: お出かけ
AUTHOR: シキ
DATE: 08/24/2006 22:54:20
STATUS: Publish
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BODY:
今日はお休み。お出かけ~。

子規記念博物館へ特別企画展を見に。
「坊ちゃん百年 漱石のあしあと」
漱石と子規との交流、ですね。手紙とか、絵もあってとても面白かった(^^)
手紙での親しみのやりとりなんかがモエ~。
ロンドン滞在の日記のノート?もあり、わ~それ手にとりたい、と思ったけど
もちろんガラスの向こう側~。
文字がこまかくびっしりと。うーん。読めない。
ロンドンで初めて「クリスマス」を経験した、という絵葉書が素敵だった。
これも細かい字で。俳句もあったり。そしてお年賀もかねて。いいね~。
もえもえだったり、感動感涙だったりでとっても楽しみました。
で、坊ちゃん百年というので、四階では、今まで出版された『坊ちゃん』の本が
ずらーっと並んでた。
こんなにいろいろ。。と眺める。全然知らないよーな文庫とかあって、いろんな
出版社がある(あった、?)んだなあ。
映画化の紹介もあって。池部良の坊ちゃんが見蕩れるうつくしさ~。すごいっ。
かっこいい~!
教室の再現、なんかはまあ御愛嬌でしょうか。
満足~。

夜はN響のコンサート。

指揮:アンソニー・ブラマル  ピアノ:ミハイル・ペトコフ
モーツァルト フィガロの結婚 序曲
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品18
チャイコフスキー 交響曲第5番ホ短調 作品64

アンコールは、チャイコフスキーの第4番の第3楽章、か?ピチカートばっかの
演奏だった。面白かった。
指揮者が、すらっとしてスリムで、動きがきびきびしてて。手がきれいでエレガント。
すっごくかっこいい~♪うっとり。
もちろん演奏もとてもすてきだった。
鳴らすなあ。ぐはー。せまってきます。音を聞くというより体感するよーな。
行ってよかった。
大満足~な一日でした。
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TITLE: 『顔をあげる』
AUTHOR: シキ
DATE: 08/22/2006 23:13:55
STATUS: Publish
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BODY:
現代歌人文庫 平井弘歌集 より、著者第一歌集『顔をあげる』を読みました。
あとがき、のノートによると、1961年。著者24歳までの歌、230首だそうです。
疎開っ子としての目を再認識した、とか。
なるほど全篇に色濃く死があり、兄は戦いで死にゆくらしく。
しかしテーマは少年期の喪失、ですね。そのような死の気配濃厚な中での少年期。
失ってゆく少年期。
なんて素敵、なんてうっとりしては不謹慎なのかもしれないですが。
なまの記述を避けた、とあるように、これは戦争、疎開している少年の歌なのだ、
とどうしても考えなくてはならないというものではないでしょう。
というかもうほんとうに。悪いけど作者なんてもーどーでもいいのです。
信じられないほど素敵で素晴らしくてあやうくてうつくしくてうっとりな歌の数々。
またしても付箋だらけにしてしまう。
少年喪失 のところなんて、見開きページもうこれ全部、とか思うもんね。

きみ、というのは、兄のこいびとだった(許嫁、とか?)ひと、なのだろうか。
葉子??んーでもでも、わたしは、ぼく、も、きみ、も、もちろん美少年どうし、
と読みたい。読みます。作品は読者である私のものだー。
すてき。
うっとり。
なにやってんだ少年達よ、とどきどきしながら読みました。うー。いい。すごくいい。
妄想がふくらみすぎてとまりません。すてきです。好きです。

いくつか好きな歌。
ってもう、ほんとに、全部、といってもいいくらいなのですが。

 水葬を終わりにしよう橋うつり帰りそこねているわればかり
 無花果の繁みに遺る少年期も嗅ぎつけられむ蟻攀りゆく
 視られいる姿勢に蟻を踏みちらす 父の愛われに留めおきたく
 ふさわしく死ぬ筈の蝉しつように所有してわれの少年期かわく
 われに似るものは容さぬ壜に蟻を飼う少年の孤りなる眼も
 腹みせる蜥蜴も含めわれを置いて死にしものなど飾ってやらぬ
 君の弱みのごとく見ている靴下の裏側すこし汚れいたれば
 立てばまだ呼びうる君を怒らせてうつぶす土手の寒いたんぽぽ
 例えば 羊のようかもしれぬ草の上に押さえてみれば君の力も
 鳥を埋めているわれも見え死のちかき友には美しからむその視野
 あげようとさえしなければ傷つかぬ顔わけもなき変声期経つ
 感じやすき死者たちがまた騒ぐゆえ顔あげる並びくる靴音に
 顎すこし仰向かされいるきみに獣のようなかなしさが来る
 
などなどなど。ああもう。たまりませんね。
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TITLE: 『前線』
AUTHOR: シキ
DATE: 08/21/2006 03:24:59
STATUS: Publish
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BODY:
一首にはまってしまって、現代歌人文庫で平井弘歌集を買いました。
『顔をあげる』全篇と、『前線』全篇、『前線』以後、歌論やエッセイなど
が入ってる。春日井健や佐佐木幸綱、福島泰樹の歌人論などもあり。
うむ~。
しかし、なるべく余計なもの読まないようにしよう、と、まずは『前線』
を読む。ぼくが殺してあげる だ。
んもうすでに作者さえどーでもいい。この歌はわたしのものだ。
『前線』は1と2に分かれていて、間、空白の七年、とかがあるようで。
歌をやめていた時期というのがあるみたいです。
そしてくっきりと戦争の影濃いのですね。作者は1936年生まれ。
自身が戦争に行ったとかいうわけではなく、疎開児童だったりした、ようです。
前線 というタイトルそのもの、も、中のタイトルも「戦争」や、
「ぼくらは戦争へ赴く」などずばりそのものなものが並ぶ。「靖国」「八月」
などもあって、うわ、今だ、という感じがする。
読んでいて、付箋だらけにしてしまう。
好きだ~。
うっとり。
ものすごくえろすな歌が並んでいるんですけど。凄い。素敵。
濃密な死の彩り。
無垢なる残酷。
あね、いもうと。エロス。
素敵すぎるなー。どうしてこんな。

読んで
そう冷静に情景とか分析とかできない感じ。圧倒されるというか、イメージに
撃たれる感じ。わーすごい、と、コーフンが先にきてしまって、ドキドキしまくり
でした。

引用するには好きな歌が多すぎるのですが。えーといくつか。
 
 とり返しつく辺りからもうまといついていもうとたちの雪虫
 あね姦す鳩のくくもる声きこえ朝からのおとなたちの汗かき
 健康なままの死者らの性のにおい栗の花におうしたのあねたち
 死んでいくものたちは眼をそらさない突き刺しておく妹と
 手足まとわぬ妹になりながら切りそろう 髪 ものいい 菖蒲
 血まみれに蜻蛉の群れる高みより子はもどされてくる かくれんぼ
 みすからをひき下ろせなき栗の木の高みいけない子ね いつまでも
 男の子なるやさしさは紛れなくかしてごらんぼくが殺してあげる
 男の子ならできるはずやさしげに妹のだめにする子がひとり
 
41ページの、 じつに何でもなくできしこと縊りおえたる鶏のことだけでなく
の、鶏の字が逆さまになってるのですが、これは誤植?1975年刊の
歌集で、レイアウトをこの字あえて逆に、としていたとはあまり思えない
んだけど。まあ逆さまでもそうじゃなくても好きな歌です。
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TITLE: 環状線のモンスター(その2)
AUTHOR: シキ
DATE: 08/19/2006 01:05:57
STATUS: Publish
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BODY:
つづき、です。

いくつか気になった、すきだった歌。

 ・昆虫の翅飾られて少年の冷えた瞼のごときも並ぶ

私は昆虫キライなのです。なのでいっそうぞわぞわする。でも瞼だ。やはり瞼だ。
ひっそりとうつくしいと思います。

 ・きみもきみも生きていなさい六月はエンドロールのように駆け足

これは上句の豪速球ど真ん中の強さに参りました。凄いな。

 ・三角の白い汽船がすぎてゆくだれもみな手をひたすら振れり

これは一見のどかなきれいな風景のようでありながら。その前の歌には
電気ショックに跳ねる体 とかあって、なんだかとてもこわい感触に思えてしかたない
歌です。だれもみなひたすら手を ひたすら、という感じが狂気に見えてしかたない。。
そう読む自分がおかしいのではないかとまたひたすら不安になる、気になる歌。。。

 ・向日葵は老いた少女のようであり口をひらいて折れ曲がるのだ

向日葵、という、眩しい夏の花をこう詠むのか。と。なんておそろしい。

夏の歌が多い歌集で、夏刊行、今読む、今この暑さの中で、今この世界の不安の
中で読むことまで計算されているのかなと思いました。さすがです。
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TITLE: 環状線のモンスター
AUTHOR: シキ
DATE: 08/19/2006 01:05:05
STATUS: Publish
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BODY:
『環状線のモンスター』(加藤治郎/角川短歌叢書)

第六歌集。2003年から2005年にかけての歌から。2006年刊、ですね。
初出を読んだことがあるものがいくつかあり、追いついた~という気分。

まさに現在、の歌。
現代に遍在する<怪物> の世界、てな感じの帯があり。
日常が、おかしくなっている、という今の感覚をすくう歌が多かった。
うつくしくロマンティックな恋歌とかはあまりなく。
どこかおかしい。どこか歪んでいる。そんな今の世界。
イラクでの事件、ネットでよびかけての集団自殺、戦争、平和。
しかし、今の時代、気分、であるので、今読むとどうしよう、どうしたら
いいんだろう、と突き動かされるところがあるのだけれども、この気分、
を、たとえば10年、20年後にこの歌集を読んで伝えることができるのか?
という気はする。まあ、そんな先のことまで考えなくてもいいんだろうか~。
戦争、や、安保闘争のごとき、なんか日本中が大変です、というものは
今でもなんだかなんだかんだで伝わってくるものがあって、そういう題材の
普遍性は息が長いと思うけれども、ネットで集団自殺しました、という
ニュースは、どのくらいもつ事件なんだろう。イラクのニュース映像は、
それはやはり衝撃のニュース映像だけれども、遠い国でのニュース映像、だ。
テレビで見て、新聞を見て、でも誰も体験していないニュース。(誰も、ってことはないか。少しは体験している人はいる)
でも今、日本中みんなが体験する、熱狂する、出来事なんてもうない、よね。
そういうことなのかなあ。
モンスターは遍在する。でも、誰もが同じモンスターを見ているわけではない。
わたしを病むモンスターは、わたしだけの世界のモンスターなのか。

なんかいろいろ、いろんなことをいくらでも書けそう、書きたい、ような気に
させる歌集で、それはやっぱり凄いなあと思う。
()の使い方がそんななのか、とか、そんなルビの使い方するのか、とか。
んー。さるさる日記は1000文字制限なので書けませんー。

とかいいつつ、やっぱり多すぎて削れないので、ふたつにします。。。
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TITLE: ニュー・エクリプス
AUTHOR: シキ
DATE: 08/17/2006 23:21:28
STATUS: Publish
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BODY:
『ニュー・エクリプス』(加藤治郎/砂子屋書房)

第五歌集、かな。2003年刊。
とても美しく、余裕もあり遊びもあり、な一冊で、当然ながら上手いなあと
思うことしばしば。
色っぽくて素敵な歌がいっぱいで、うっとり。でも、厳しくつきつけてくるもの
もあって、凄いし。
ばりばりの口語というわけではなくなっているのですね。
歌集全体の印象としてはとてもやわらかい。
携帯電話の歌がいくつかありましたが、携帯電話がまだなんだか異物として
ある感じ、というのが面白かった。

いくつか好きだった歌。

 ・つややかな水を出しあうおたがいのいたるところがゆるされていて

一番目の歌。とてもすてきです。うっとり。このゆるやかにやわらかにとけあう
感じ、素敵です。

 ・戦争は終わり続けてきたことを二〇世紀の太陽に告ぐ

終わり続けてきたのだ。それは希望を告げることなのか。始まり続けてきたのだ。
それは絶望を告げることなのか。哀しい。

 ・ごめんねとなぜきみは言うごめんねと携帯電話のならんだ机

これは学校とかかなあと思いました。会社、とか、家庭、とかよりはもうちょっと
幼い感じかなあと。青春を感じる。なぜごめんねというのでしょうね。でもごめんね。

 ・唇をすべらせてふくハモニカのあるときは剃刀の香りして

あの澄んだうつくしい音色は金属の音色。音も唇にあたる感触も見えて素敵だ。

 ・囁きの春の雪ふる鍵盤のかずかぎりない柩にふれて

これは見た目にも大好きです。うつくしい。素晴らしい。もう言うことないです。

 ・とりどりのペンで汚い言の葉を書き連ね文具売り場を去りぬ

なんて酷いの。素敵です。どんな汚いことばを残していったのでしょう。いいなあ。

 ・ミシンからしずかに垂れてゆく布の春の闇にはとどかざりけり

おーこれは子規でしょうか。ずっとロマンチック。

 ・蜂蜜を朝の瞼にしたたらす起こしていいかわかりませんが

 ・さりさりときみの瞼を雪に彫るひとさしゆびのひえてゆうぐれ

瞼。瞼って、いいですよね。これは並んでいたわけじゃないのですが、読んでいて
印象にのこった瞼。雪に彫る ほうが、ロマンティックで好きかなあ。でも蜂蜜を
たらすというのもすごくえろくていいな~。でもちょっとユーモアっぽくもしている
ようで、うまく情景は読み切れませんが。でも好き。

きっと好きだろう、と貸していただいた本です。ほんと、とても好きな歌集でした。
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TITLE: 短歌の謎
AUTHOR: シキ
DATE: 08/16/2006 22:52:21
STATUS: Publish
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BODY:
『短歌の謎』近代から現代まで(學燈社)

短歌のはらむ未解決の問題を多様な観点から解き明かす。

てな主旨らしいです。国文学の増刊、かな。1999年6月刊。
正岡子規以降、現代は俵万智くらいまで、かなあ。最後のほうに口語短歌の
例として穂村さん、加藤治郎さんとかも一首載ってましたが。
短歌の謎、とか、歌人の謎、とか、名歌の謎、と、それぞれ1~3ページ
くらい解説(?)があり。
へえ、とかふうん、とか、わりとさくさく読みました。しかしあんまり
面白くはないか。。。な。。。この文章かっこわる。。とか。。。うーん。
短歌についての理解がまだまだ及ばないワタシなので読めないのでしょう。

山崎方代という歌人に興味がわきました。なんか魅力的人物みたいですね~。
歌も魅力的。
 かつぎだこ取れし今でも物みれば一度はかついでみたくなるのよ
って。
なにそれ。チャーミング~ですね。
なんか獏さんの小説に出てきそうな人物かしらと思いました。歌読んでみよう~。

そして!
もっとも衝撃でメロメロにやられてしまいました。
平井弘
 男の子なるやさしさは紛れなくかしてごらんぼくが殺してあげる

凄い。素敵っ。かっこいい!素晴らしい!
歌の解釈としては、息子と父親、とか、だったりするみたいな感じでしたが。
ん~。私の最初の感じとしては、なにかヤなものを、殺せない、といっている
より弱い存在、に、僕、が、かしてごらんかわりに殺してあげるよ、という
やさしさかなあと思いましたが。
でも妄想炸裂する~。
ハーラン・コーベンのマイロンとウィンみたいな。
あるいはあさのあつこのNO.6的世界とか。
殺す相手は人間で、純粋な怒りに燃える少年(青年)二人、震える手の銃を
片方がとりあげて、きみの手を汚すまでもないよ、かしてごらんぼくが殺してあげる。
サイレンサーでくぐもったかすかな銃声。そして、痙攣する醜い男の倒れた体から
ゆっくり広がる血の海。
あるいは、かしてごらん、のあとに、「だめだ。だめだよ、殺しちゃ」とりあげられた
銃をおさえる少年。ぼくらの手を、汚すまでもない。十分だ。もう十分だよ。
縛り上げられ口もふさがれたままみっともなく命乞いのうめきを上げていた男を
残し、去る少年達。遠くからパトカーのサイレンの音。
みたいな。
そーゆー妄想が広がります。なんて素敵な歌~。もっとこの人の歌が読みたい!
楽しみです。
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TITLE: 記憶の技法
AUTHOR: シキ
DATE: 08/12/2006 20:51:59
STATUS: Publish
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BODY:
『記憶の技法』(吉野朔実/小学館文庫 コミック)

意識を集中して
外に飛ばす

わたしを 消して

それは、見てはいけないものだった。
それは、知ってはいけないものだった。
古い記憶。
迷子になったわたし。エスカレーター。雪。
でも、それよりも前の。
夏の日の。
それは、思い出してはいけない。見てはいけない。いけない。いけない。

コミック、これはちゃんとリアルタイムで買った覚えがありますが。もう
文庫になったのね。解説が東直子さんだった。時系列の彼、というのは
ほむらさんかしら、と想像。いいな~。いいな~。

静謐。
吉野さんのマンガはそんな言葉を思い出す。
おそろしい悲劇も。おそろしい熱情も。硬質で冷たいうつくしさにとじこめ
られていくように思う。
うつくしい絵。
うつくしいことば。
そしてちゃんとやさしい。

やさしい。

わたしの帰る場所はいつかみつかるだろうか。おもいだせるだろうか。
わたしのきおくは、わたしのせかいは。

わたしのほんとうのこと。わたしのうそ。どっちがどっちにどのくらい
まざっているのかもうわからない。
好きというのと、嫌いというのと、どっちが簡単なんだろう。
たぶん好き。
好き。
すきをたくさん、かさねていけますように。
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TITLE: 傀儡の巫女
AUTHOR: シキ
DATE: 08/11/2006 00:39:40
STATUS: Publish
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BODY:
『傀儡の巫女』(榎田尤利/講談社X文庫ホワイトハート)

眠る探偵シリーズ3。
探偵のもとにもちこまれた依頼。あやしげな宗教にはまっているらしい
男の様子を調べること。
その宗教にかかわっているものたちの自殺が相次いで起こっていた。
そして、笑子のクラスメイトの謎めいた美少女。
事件の糸をあやつっているのは、槙、なのか?

買ったのは結構前だったけども、飛ばし読みをしてしまっていた(^^;
初めからちゃんと全部読みました。

すーごく面白い。

榎田さんので、魚住くん以来の大好き作品になるかも。
ジュネに連載始まったときにはなんだかなーと思っていたけれども。
文庫になって、槙がいるようになってから凄みが出てひきこまれました。
槙のほうにいっちゃ駄目だ。
不破ーがんばれー。
と思うものの、正直探偵と槙の絡みがたまりません。タカちゃんの存在は
どんどん軽くなっていきます。槙の愛の前にまったくもって負けているじゃ
ないかタカちゃん。笑子ちゃんはがんばってるなーと思うけど。

槙が一番魅力的。
となってしまうのはダメですか。まーもちろん、実際問題こんな愛は絶対
ヤダ。でも槙のほうがいい。槙と愛しあえばいい。溺れてしまえばいいのに。
うっとりです。

榎田さんがこのお話にどう決着をつけてくれるか、とてもとても楽しみ。
続きを待ってます。
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TITLE: ネコねこ
AUTHOR: シキ
DATE: 08/08/2006 22:11:28
STATUS: Publish
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BODY:
クレア、9月号が出てました。
ネコですよ~♪
表紙ははっちゃん。はっちゃん、可愛い~。毛がきれいだなあ。白いところは
真っ白で。
お風呂まめにしてもらってるんだろうか。
うちのにゃんこはもうずいぶん洗ってないなー。この夏の間に一度は洗って
やろう。めちゃくちゃイヤがられるんだけど。。。
職場の女の子んちの子猫ちゃんは、毎日お風呂に入ってるらしい!
湯舟にすすんでつかってるそーです。びっくり。想像するだに可愛いにゃー。
でもお湯に毛が浮いて御家族的にはかなりヤダ、とからしい(^^;
猫もいろいろだなあ。

で。
クレアは猫いっぱいで満足。
ま、でも、うちのにゃんこが一番可愛いのは言うまでもないです☆
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TITLE: 車輪の下
AUTHOR: シキ
DATE: 08/06/2006 20:22:20
STATUS: Publish
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BODY:
『車輪の下』(ヘルマン・ヘッセ/新潮文庫)

ハンス・ギーベンラートは町一番の賢い子どもであった。
期待を受け、勉強にうちこみ、こどもらしい楽しみはあとまわしにして
神学校への試験にそなえていた。

今年のヨンダくん狙いの二冊目。
ええまだ読んだことなかったの。
ドイツ。神学校。選ばれた子ども達の共同生活。友達。裏切り。死。
萩尾望都的世界ですね。
実際反抗的な詩人タイプのヘルマン・ハイルナーとのキス!

ま、それが主題ってわけではないのですがー。
こんな話しだったのね、と読み終わって満足。悲劇だ。

ヘッセの自伝的物語り、だそうです。
いろんな登場人物にふりわけて、だそうで。ヘッセは立ち直ったけれども、
とか。
いいなあ。
日本だと明治時代。ドイツではこういう世界が実際あったわけですね。
うーん。うっとり。
少年が少年である物語。素敵でした。

うーんでもまあ、すっごく面白くて熱中!ってほどではなかったー。
やっぱドストエフスキーだな。
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TITLE: マクベスの妻
AUTHOR: シキ
DATE: 08/04/2006 20:00:52
STATUS: Publish
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BODY:
『マクベスの妻』(杉田加代子/砂子屋書房)

著者第一歌集。

上品な紫の表紙。クリアなプラスティック。ソフトカバー。旧かなづかい。
全体を読んでやわらかくうつくしいと思うのだけども、一番強く思ったのは
短歌をやるって、おそろしいことだ、という深い実感です。

母である、妻である、ということをたっぷり見せながら、母って妻って、
と勝手に抱いている愚かなステレオタイプを見事に裏切ってくれている。
やさしくあたたかく貞淑なだけなわけはなく。見えるのは深淵の闇。
少女のような可愛らしさも、それなりの歳月を重ねた重みも、両方が丁寧に
うたわれている。自分自身を自分で突き放すクールさがあって、凄みがある。
短歌をやることでこういう視線を持ったのか、もともとのものなのかわから
ないのですが。
短歌ってこわい。作品をつくるってこわい。
それは私がこのクールさや覚悟を持てないでいるからなのだろうなあ。

 母のとなりに 息子になりかはりて詠めるうた

という一連が凄い。

 愕然と抱かれてゐたりとびだしたときより熱き母のふところ
 
 マザコンと言ふならば言へまつすぐに母のエロスを受け止めてゐる

 ぬれながら帰宅せし母 僕たちの届かぬ海をわたり来しかな

などなど。突き刺さってくる歌ばかりです。このタイトルでこの一連を詠む
凄さって。強い。うつくしいと思います。

いくつか印象的だった歌。

 一人のをとこは死せりねぢばなの蠢くやうに夜を咲くとき

 子、彼ら共有したる胎内のぬるき記憶をたしかめてをり

 ほんたうのことを言つたらおどろくか秋刀魚四尾の夕餉の席に

 相寄りてあかときを待つ羊水に浮かぶ双子もかくやあるべし

 ヒロシマのうつつは深し病棟の奥にありたる原爆外来

 約束をたがへしひとに呑ますからハリセンボンよ針をください

 いとでんわの糸になりたしひたぶるに伝へむとするその恋ほしさや

いずれもぞくぞくとする歌ばかり。なんだか闇の気配のする感じ。そういう
のにとてもひかれてしまいました。
引用のうち最後のふたつはとても素敵に可愛らしいと思って好きです。
短歌ってとてもうつくしく。
とてもこわい。
私もなんとか。自分なりにがんばれ。がんばろう。
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TITLE: 怪盗クイーンの優雅な休暇
AUTHOR: シキ
DATE: 08/02/2006 21:51:08
STATUS: Publish
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BODY:
『怪盗クイーンの優雅な休暇(バカンス)』(はやみねかおる/講談社青い鳥文庫)

休暇(バカンス)をとりたい!とぐーたらしながらだだをこねるクイーンに
招待状が届く。
ニューヨークから処女航海に出発するロイヤルサッチモ号、12日間のクルージング
にぜひきてほしいというのだ。
クイーンの旧友、のはずだったが、相手のほうはクイーンに恨みたっぷり、
復讐の機会を狙っての招待である。
サッチモ。
初楼という謎の暗殺集団。
サッチモコレクションを狙うどこか間抜けでいわくありげな王女さま怪盗。
クイーンを捕まえるための探偵卿。
シゴトなんかしたくない!というクイーンのバカンスの旅のはずだが、のんびり
しているわけには、いかなかった。

クイーンのシリーズの2作目、かな。1作目をまだ読んでいないー。
夢水探偵とは会ったあと、なのか。まあでもそっちは読むつもりはなし。
なんかとにかく圧倒的にクイーンが強い、というか、超人すぎて、なんだかなー
という気がしないでもない。どっちかっていうと、ジョーカーくん主役、と見る
べきシリーズなんだろうか。
ま、とっても楽しく読みました(^^)

わりと分厚い本、で、最後に読了認定証、なんてのがあり。
対象は小学生、中高学年くらいか?と思うと、よく読み終わりましたね、というのは
ありだろうか。
んー。でも自分でこれ読もうか、と手を出す子ならフツウに読み終わるだろ???
とか思います。こういう余計なコドモダマシはいらねーんじゃないの?と思うのは
ワタシがヨゴレタオトナだからでしょうか。
んまあともあれ、小学生でも楽しくさくさく読めるだろう。うんうん。と思います。
私もちゃんと読み終えたので、はやみねかおるに読書力認定されました。わーい。
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TITLE: 文庫版 今昔続百鬼-雲
AUTHOR: シキ
DATE: 08/01/2006 21:56:40
STATUS: Publish
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BODY:
『今昔続百鬼-雲』文庫版(京極夏彦/講談社文庫)

多々良先生行状記。

俺は、妖怪にはまってしまった。妖怪が、好きなのだ。
その道にはまって、どうにも毎度腹をたてずにはいられないセンセイと
知り合う。知り合わなければよかった、と思わないでもない。
その時、俺はとにかく腹を立てていたのだ。

という感じで、文庫版ももちろん買ってます。読んでます。出てすぐ買って
京極不足に飢えていたので、もちろん一気読み。面白いー(^^)

とはいえ、これはやっぱり中禅寺が出て来るとことが一番好き~なので、
そしてその出番はかなり少ないので、あまり読み返したりしてなくて
かなーりいい塩梅に忘れていて、文庫も十分楽しかった。
まあなんというか。。。多々良センセイたちの無茶苦茶さに呆れてあははとか
読んでてかなり楽しい。
なのに、中禅寺登場、すると、ひやりと温度が下がる迫力があって。
きゅんきゅん。素敵~。

なんか、このセンセイと俺の漫才かとゆー飄々さにのせられるけれども、
事件はかなり悲惨というか残虐。
ミイラ。怖い。。。

妖怪、大好きなんですよ、という、愛にあふれた物語(^^)
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