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2011年5月

TITLE: 『君がいない夜のごはん』
AUTHOR: シキ
DATE: 05/31/2011 18:26:09
STATUS: Publish
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BODY:
『君がいない夜のごはん』(穂村弘/NHK出版)

食べ物とその周辺をテーマにしたエッセイ集。
きょうの料理ビギナーズ と 月刊ベターホーム に連載していたもの
をまとめた、のに加筆修正など、でしょうか。ビギナーズのはちらほら見ていたけど
ベターホームも連載してるのね。知らなかった。
 
さらっと、ふむふむと、とっても読みやすくっていいですね。
一つ一つの分量も4ページくらいで。
ほむらさんは料理が全然できないそうだ。
できない、というか、やらないんでしょう、とお友達にせめられるみたいなことが
書いてあって。あーあ。と思う。
奥さん偉いなあと思う。愛があるんだろうなあ。
というわけで、軽く自虐に見せかけてのろけがたっぷりなんだなー。
いいですねー。と、ちょっとひねくれながら読む。
言葉遣いが、ですます調というか、たいへんソフトに計算されていて、
そっかー。きょうの料理ビギナーズとか買ったり読んだりする人向け、というと
こんな感じなのか、と思う。なるほどある一定の感じよさ、ですね。
連載をぱらぱら見ていた頃にはあんまり思わなかったけど、まとめてすいっと
一気に読んじゃったので、全体的な印象、というのがそんな風に残った。
相変らずの安心の面白さです。
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TITLE: 『鈴を産むひばり』
AUTHOR: シキ
DATE: 05/30/2011 16:22:52
STATUS: Publish
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BODY:
『鈴を産むひばり』(光森裕樹/港の人)

1998年から2010までの歌から314首を選び三章にまとめたもの、
だそうです。歌集にするにあたって旧仮名遣いに統一しました、とあるので、
最初の頃は新仮名だったのかな。いかにも旧仮名がふさわしい、という風情
でたまりません。
出てわりとすぐに、いいという話を聞いて買っていたんだけど、でも読むのが
怖くてずっと傍らに置いたままにしてた。ぱらぱら見ただけでももう、決定的に
上手い。うつくしい。凄いよくできてるってわかるのでなんかもう自分が歌やる
のが厭になると思って見たりやめたりしていたのを、ようやく最初から最後まで
読んでみた。
旧仮名のせい、というのもあるとはいえ、見事に抑制のきいた世界。完成度抜群。
うつくしいー。うっとりして大好きになってしまうしかない。
著者の姿というのはあまり見えないように距離を置いてる。IT関係の仕事だったり
するのかなあ、と思うけど全然違うかもしれない。著者の姿が気にならないのがいい。
小ぶりで水色の表紙のきれいな本で、きれいにガラスケースに収めつくり上げた
世界、という感じの作品とあいまって、とても大事にしたい本だと思う。
素敵だなあ。

いくつか好きな歌を。

 金糸雀の喉の仏をはめてから鉱石ラヂオはいたく熱持つ  (かなりあ)のルビ
  
 内側よりとびらをたたく音のして百葉箱をながく怖れき
 
 手を添へてくれるあなたの目の前で世界をぼくは数へまちがふ
 
 孵らずのさなぎを裂けば一匙の鱗粉のみに溢れてゐたり
 
 狂はない時計を嵌めてゐる人と二度逢ふ二度はすでに多きを
 
 乾びたるベンチに思ふものごごろつくまで誰が吾なりしかと
 
 だとしてもきみが五月と呼ぶものが果たしてぼくにあつたかどうか
 
 ずぶぬれのコートを羽織るもし人に翼のあらばかく重たからむ 
 
 人のみなうつむく冬の図書館にたつたひとりを探してゐたり
 
 オリオンを繋げてみせる指先のくるしきまでに親友なりき
 
 出目金でためすゆふべの読唇術――ユメガボントニ ナ ル 日 ガ 怖 イ

 
漢字の正字が出せなかった。「溢」と「逢」はほんとは違う字。
素敵だなあ。
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TITLE: 『しくじり姫』
AUTHOR: シキ
DATE: 05/28/2011 10:32:41
STATUS: Publish
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BODY:
『しくじり姫』(ゴマブッ子/ヴィレッジブックス)

あの女 ブログ愛読なのでつられてまた買っちゃいました。ゴマさまの本
4冊目くらいかな。一冊買ってないのがあるけど。
初版には白鳥カードが二枚!とかwそういうのに釣られるワタシw
そしてひっそりと著者近影!おおー。微妙にカットされててお顔はわかんない
んだけれども、すごいかっこいい!感じがする!w黙っていればモテそう、
と言われる爽やかゲイ、妻夫木くん似、ってのは嘘じゃないんだろうな~と
妄想できる!ww

これは小説集、ということらしく。小説というかお話?御伽噺のゴマ流アレンジ
で、あの女から脱却めざせ綺麗売り!という感じ。さくさく面白かったし、
あ~という感じをうまくお話にしてる~wwと思う。
面白おかしく書いてくれてるけど、結局、人生の気づき、とか、感謝の気持ち、
とか、結局変わるのは自分、とか、思いやりの気持ち、とか、求めすぎないで
足るを知る、とか。根本的にはやっぱり人生ってそういうことが大事なのね、
というお話。ゴマさま流だとバカバカしかったり毒舌混ぜたりしてて、説教臭さ
がかなり減ってて読みやすい。決めるのは自分だから。
なんていうかこう。。。我が身を振り返ってワタシってダメ人間、とまた軽く
落ちて卑屈になるーw優子だ。ワタシは優子だ。ヤダーw
まあ、いきなりばっちり変われないわもうこの年になると。といきなり逃げ腰
になっちゃうけど、でも少しずつでも心がけを持とうと思う。
ま、毎朝あの女ブログ読んで、ゲラw!とかやってるけどね。人には「にっこり」
とできるようにしよー。
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TITLE: 『マスコミは何を伝えないか』
AUTHOR: シキ
DATE: 05/21/2011 17:07:05
STATUS: Publish
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BODY:
『マスコミは何を伝えないか』(下村健一/岩波書店)

メディア社会の賢い生き方

著者は、TBS社員としてアナウンサーや取材ディレクター、キャスター
などであった人。現在はフリーだそう。現在の肩書きとしては「市民メディア
・アドバイザー」だそうです。
この本が出たのが2010年。現在もテレビに出てコーナーをもったりしてる、
そうで。私も見たことあるのかなあ。でも名前見てもあんまり覚えがない、
というあたり。
現在もマスコミの中の人、であり現場をふまえての、マスコミ被害加害の分析、
メディア・リテラシーについて、の本。講座の書籍化。テーマごとにゲスト
との対談もあり面白かった。

 第一章 報道被害はなぜなくならないのか? ―悪意なき《見えざる手》
 第二章 マスコミ自身による解決の道 ―《修復的報道》という提案
 第三章 自らが発信する時代へ ―新たな担い手「市民メディア」とは何か?
 第四章 メディア社会を賢く生きるために ―メディア・リテラシーを養う

市民、という言葉がなんかヤダ、という気もしないでもないけどー。
マスコミはこやって報道の偏りが出るのか、とかわかりやすい。なんで大勢に
のっかってばっかりかというと、みんながそうだからそういう報道すると決める
ハードルが下がる、とか。マスコミも人やのう、という感じ。なのにマスコミ
の報道を絶対視する人が沢山いる、というのも。

私は、学校でメディア・リテラシーがなかった時期、の教育を受けてきたんだな。
あんまり学校時代の記憶ってないけど(馬鹿なのでよく覚えてない…)メディア
発信的なこととかたぶんあんまり教わったりやったりしたことはない、ような気がする。
今の学校はそういうのやってるのかな。メディア・リテラシーがみんなこれから
上がっていくといいね。鵜呑み、ってしてないつもりだけど、自覚ないままに
鵜呑みしちゃってるかもしれないしなあ。自覚自覚。スポットライトの外にも
いろんな世界があることを、忘れてないつもりだけど忘れるかもしれないから
気をつけよう。。。
マスコミが変わるのかどうかも。どうなるかなあ。
今度の震災関連見てても変わるとはなかなか思えないなー。
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TITLE: 『フェイスブック』 *2
AUTHOR: シキ
DATE: 05/21/2011 14:10:09
STATUS: Publish
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BODY:
『フェイスブック』*1のつづき

私はフェイスブックをやってみたいという気持ちは今のところない。大体はミクシィ
をイメージしながら読んだ。フェイスブックの目指す方向っていうのが、どうにも
『ハーモニー』の世界なんじゃないのかと思えてしかたない。『ハーモニー』の文庫も
読み終えたばかりで余計にそう思うのかもだけど。誰もが自分のことを情報開示して
透明化し、社会化し、ふさわしいふるまいをし、おだやかに監視しあう。
ジョージ・オーウェル化、という言葉も出てきたけど、私はフェイスブックってそっち、
ジョージ・オーウェル化に近いと思うんで抵抗感のほうが強い。マークは理想があり
悪用したいとは思っていないんだろうけど、でもなー。そんなに深く気にせず、
ともだちとつながって楽しもうよ、と、凡人的にはそういうもんかもだけど、でもなー。
あんまりソーシャルになりたくないひきこもり根暗人格だな私は。。。
しかしこれからフェイスブックがどうなっていくのか。すごく面白いし見ていたいと思う。
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TITLE: 『フェイスブック』 *1
AUTHOR: シキ
DATE: 05/21/2011 14:09:08
STATUS: Publish
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BODY:
『フェイスブック 若き天才の野望』(デビッド・カークパトリック/日経BP社)

5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた
 
マーク・ザッカーバーグはじめ、フェイスブック内部の多くの人にたっぷり
インタビューし取材して書き上げられた本。映画とはもちろん違う。映画が原作
(原案?)にしたのは違う本。映画はやっぱり映画で、わかりやすく面白く完成
させたドラマなんだなあと思う。映画すごく面白かったのでこの本も読んでみた。
この本のほうが真実、かどうかというのではなく視点が別物。マーク本人だとか
よりも、フェイスブック、というビジネスが生まれ急激に成長していく様を描いて
いる。すごく面白かった。

学生の思いつき、で始まったかのようなインターネットサービス。
フェイスブック以前にもソーシャルネットワークサービスはあったし、IT産業の
様々な成長衰退はめまぐるしい。フェイスブックの急激すぎる巨大化も、西海岸に
あってはありなスピードなのかなと思う。それでも驚くほどの成長ぶり。
投資家がどーこーというあたり、私にはいまいちピンとくるほどわかるってものじゃ
ないんだけれども、投資もちかけられるとか、買収もちかけられるとか、交渉する
のがマイクロソフトだグーグルだとか、金額評価額が億の単位でガンガン上がるとか
なんかすっげー!という興奮がある。
広告をなかなか受け入れないとか目的は金じゃないとか、マークすっげー!とかね。
フェイスブックが変える世界、という感じ。プライバシーの問題とかユーザーからの
反発なんかもそこそこは書かれている。でもどうなんだろうなあ。
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TITLE: 映画『ブラック・スワン』
AUTHOR: シキ
DATE: 05/18/2011 19:52:14
STATUS: Publish
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BODY:
映画『ブラック・スワン』

ニューヨークのバレエ団。
シーズンの始まりを、「白鳥の湖」のプログラムとすることになった。
これまでのプリマの引退。新しいプリマが選ばれる。
繊細で純真な白鳥。同時に、魔性の魅力の黒鳥を踊るスワン・クィーンが選ばれる。
ニナは、清純な白鳥を踊るには最高だが、黒鳥の魅力を踊れないでいた。
選ばれたスワン・クィーンであるという誇りとプレッシャーの中で、黒鳥を踊る
ための苦悩が続く。自分をもっと解放しろ。臆病になるな。しかし心は壊れていく。
 
ナタリー・ポートマン、アカデミー主演女優賞受賞。
サスペンスっぽいのかなと楽しみに見に行った。思っていたよりずっと怖かった。
まんまとつられてびくっとすること度々。小心者だ(^^;
カメラはずっとニナに寄り添う。近い。ぴったりついてニナを追う。
バレリーナの苦悩。というより、母と娘の関係の苦悩が凄い怖かった。
母と娘って厭だよね。つらい。
母もかつてはバレリーナだったこと。しかしニナを妊娠してキャリアを諦めたの。
でも、そのママは所詮群舞の一人。誰よりも娘を溺愛しながら、娘が主役になる
ことを、心のどこかでは妬んでいる。4人の白鳥だって十分素敵よ。主役なんて
無理よ。と、娘を愛し心配しながら娘が自分の手元より高く飛んでいかないように
縛り付けている。自覚的にせよ無意識にせよ。母の娘でいることはニナには苦しい
ことなのに。出て行くことをしなかった。ぬいぐるみやオルゴールに囲まれた部屋。
やがて反抗し、ぬいぐるみもオルゴールも捨てるとはいえ。ニナ。もっと早くその
部屋を出るべきなのに。ママにとっては永遠に12歳の子どもなのに。

黒鳥のために、性的な喜びを知れ、と、監督のトマスに叱咤される。
臆病な処女のようなニナ。押し殺した自分の欲望は本当は激しいものだった。
酒と薬で理性を麻痺させたとき、ゆきずりの男と絡みあい、ライバルである
はずのリリーとレズビアンなセックスをする。幻の相手と。自分と。
鏡の中の自分の顔が変わっていく。ブラック・スワンになっていく。ラストの
黒鳥のシーン素敵だったー。こわくて。
鏡がうちにも、もちろん稽古場にもたっぷりあって、その中で見る感じがこわくて
素敵だった。怯えるナタリーはほんとに少女のよう。気弱でちょっと甘ったれた
喋り方とかすごいよかった。こわくてつらくて面白かったー。
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TITLE: 『エアーズ家の没落』上下
AUTHOR: シキ
DATE: 05/10/2011 11:32:29
STATUS: Publish
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BODY:
『エアーズ家の没落』上下(サラ・ウォーターズ/創元推理文庫)

エアーズ家。ハンドレッズ領主館に暮らすのは母と娘と息子。
第二次世界大戦終了後、かつての華やかさはなく館にこもっていた。
往診の代役を引き受けたファラデー。少しずつ一家との親交を持つ
ようになり、館にのめり込んでいくことになる。
 
ホラーっぽい、のかなあ。ミステリというわけでもないような。
館の不気味な気配とか一家の狂気なのかなんなのかそもそもファラデー
先生の狂気なのか?描かれているのはどこか奇妙に歪んでいく日常、で、
結局明確な結論が出るわけではない。時代の流れ、のようなことかも
しれないし何か超常現象なのかもしれない。
没落、だなあ。一家の滅びの物語。
家、などというものにこだわらなければいいのに、こだわらずにはいられない
一家の思い、ファラデーの思いが悲劇だろうか。

面白かった。
戦後のイギリスの地方の旧家の滅びの物語。素敵だ。どうなるんだろう
何が一体?と思って最後まで読むんだけど、もやもやもや。
同性愛的なところがどっかであるかなーと期待したけどなかったなー。

キャロラインが、登場のころはどうにも変人っぽく可愛くなく描かれて
いるのに、だんだん恋人たちの物語になって、でも、とか、ダンスパーティの
シーンもその後の車でのシーンも、どうにも見るに耐えない気がして、
なんだか違和感で。そういうのも狙いかな。以外とキャロラインが一番まとも
だったのか。うーん。でも。こわい。
登場人物のだれもかれもに違和感。館もこわい。うーもやもやもやもや、と
なりながらもかなり夢中で読んで、最後まで気配だけ感じて終わってしまって
あーうー、と思いながら。面白かったー。
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TITLE: 「ヘンリー・ダーガー展」
AUTHOR: シキ
DATE: 05/09/2011 19:07:38
STATUS: Publish
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BODY:
「ヘンリー・ダーガー展」
 アメリカン・イノセンス。純真なる妄想が導く『非現実の王国で』

ラフォーレミュージアム行ってきた。
アウトサイダー・アートの人として、妄想の王国を築きあげた人として、
名前は知っていた。本物を見るのは初めて。ノートのようなものを想像
していたんだけど、ずっと大きかった。3メートルほどの長さの絵巻物
的大作もいくつも。子どもを虐待する悪の帝国と戦う七人の少女、
ヴィヴィアン・ガールズ。トレースで描かれた少女たち。同じポーズや
同じ顔。でも表情が違ったり洋服が違ったり。トレースでもコラージュ
でもなんでもいい。とにかく。彼のつくりあげた戦いの王国。少女たち
は何度も危機に陥り、しかし何度も逃げ延びて勝利する。

虐待される子ども。虐待どころが、どっさり殺されている。凄い。
色とか表情とか怖い。内臓なんかもかなり丁寧に描いてるし、遠慮なく
切り刻まれてる。凄い。
何より私が怖かったのは、絞め殺されている子ども。舌が突き出し、目をむき
苦悶している子ども。切り刻まれてるのよりももっと怖い。舌が。リアルに怖い。
凄い。なんでこんなに。
上手い絵、というわけではないのにひきずりこまれる。動きも固いし表情も、
笑っていたり逃げようと必死だったりなのかもしれないけれど、私には死んだ
顔に見える。トレースだから、というのもあるのかもしれないけど。それにしても
どうにもこわい。ひきずられる。ガールズにはちいさなペニスある。でもそういう
ものだ、という気もする。少女の体を知らなかったからだろうか?本当に?うーん。

平和になったあとの花咲き乱れての王国は色もきれいで平和。でもその中央に
子どもを虐待する像があったりして、ぐにゃん、と世界が歪む気がする。凄い。
猫や犬や子どもの顔の、体は蛇のような龍のような、羽根のある、もの。食用、とか
毒がある、だったりしてやっぱりなんだかぎゅるんと世界が歪む気がする。
たっぷりの、どっさりの、大きなダーガーの絵に囲まれて、彼の王国に踏み込んで
しまった落ち着きのなさを感じる。彼の非現実の王国。目の前に開かれているのに
徹底的に彼だけの王国。凄すぎるよ。
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TITLE: 『完全なる証明』
AUTHOR: シキ
DATE: 05/01/2011 17:40:52
STATUS: Publish
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BODY:
『完全なる証明』(マーシャ・ガッセン/文藝春秋)

100万ドルを拒否した天才数学者

ポアンカレ予想が証明された、というのの、NHKスペシャルだったかを
見た覚えあり。ロシアの数学者、グリゴーリー・ペレルマン。
しかし、クレイ研究所からの100万ドルの賞金を辞退し、それどころか
どの大学や研究所からの誘いもフィールズ賞も拒否。世間一般すべてと
断絶し、森に消えたという天才数学者。
番組でも接触を試みようとしてたけどやっぱり会えてなかったと思う。

著者もペレルマンに会うことはかなわなかった。ペレルマンに近しかった
人たちへのインタビューなどをもとに、見知らぬ数学者の姿を描き出している。
著者もまた、ソ連時代、子どものころに、数学の才能を見出され、選ばれて
数学学校に通っていたユダヤ人、という、ペレルマンとの共通点があり、
ペレルマンによりそっていこうとする真摯さは、自分自身を振り返ること
でもあるようだ。
ユダヤ人であること、という問題、って、なんか凄い深刻なことなんだな…。
恥ずかしながらよく知らない。もうちょっといろいろ知りたいと思った。

ソ連での教育事情、というのが興味深かった。
配給の同じ制服を着て、厳しい規則のなかみんなと同じ永遠の退屈の中から
抜け出す希望として数学学校があった、とか。数学学校でのとことん個人の才能を
伸ばそうという教育とか。面白い。凄い。
そんな中でもペレルマンは特に才能をみこまれ、大事に育てられてきたのだ、と
いうところとかとても素敵。
先日読んだガロアの本でもやっぱり、才能を見込まれ早くから大事に育てられ、
という教育者がいたけれども。でもガロアは不遇のうちに亡くなってしまったけど、
ペレルマンはじつにいいタイミングで世界に出た、とか。ポアンカレ予想を証明
すべく選ばれた天才かー、という運命を思った。

ポアンカレ予想のことは、えーとまあ、解説されてもわからん(^^;ので
そこは気にしない。
天才数学者。孤独な変人。彼自身の独自の論理にしか従わない。かっこいーなあ。
すごく面白かった。
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