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2009年11月

TITLE: 『アンティキテラ 古代ギリシアのコンピュータ』
AUTHOR: シキ
DATE: 11/27/2009 00:12:24
STATUS: Publish
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BODY:
『アンティキテラ 古代ギリシアのコンピュータ』(ジョー・マーチャント/文藝春秋)

1901年。ギリシアのアンティキテラ島。
海綿獲りの男たちは、海底に舟を発見する。古代ギリシアの舟だ。
やがて引き上げられる古代ギリシアの宝たち。見事な彫像、ブロンズなどなど。
その中に、風変わりな塊があった。ブロンズと木片からなるその塊の破片たち。
いくつかの歯車がのぞいている。
ありえないことだった。
2000年昔の、古代ギリシアの遺産のはずのその塊。
歯車を使っての機械仕掛け、は、時計の出現を待たねばならないはずだった。
1000年ほども年代があわない。
文献からわかる、古代のごく簡単な歯車の仕掛けとしては、せいぜい2つ3つほど
の歯車を使い、重いものを持ち上げるなどの道具があるだけだった。
アンティキテラの古い塊は、もっとたくさんの歯車、緻密に切り出された歯車、
複雑な目盛りをもっていた。なにかの計算をするものに違いない。
一体、これは何なのだ。

という謎が徐々に明らかにされていく過程の本書。
始まりのところは、海綿獲りの男達、の話だったりして、宝探しのわくわくに
まずひきこまれる。
過酷だったんだねー。潜水病で人がたくさん死んじゃったりしてたんだ。新しい
技術によってひきおこされる病気、って、つまり予測不可能だったりわかんなかったり
するんだなあ。と、なんかそんなことにも感心。

歯車の仕組みを知るのに、X線の技術向上を待たねばならなかった、とか、なんかこう
最先端の技術をもって、大昔の機械に挑む、って感じがかなりワクワク。
研究者たちそれぞれの考え、競争面白い。
よくそんなこと考えられるなあと感心。さらに古代にこの機械をつくった誰かって
めちゃくちゃすごいなあと感心。

結果、これは天体観測というか、月食を知る機械、という感じ。
複雑な計算、動きを生み出して、天体、空の動きを過去、未来にわたって、機械の
中に再現し計算することができる。
うーん。
仕組みなんかはわかんないけど、(いっぱい解説してくれてるけど、実際に
ピンとくるわけじゃないバカ頭の自分。。。)面白かった~~。
解き明かした研究者たちもすごいし、古代ギリシア人もすごーい。
こんなの知らなかった。
詳しい研究発表があったのが、2006年とかだったりして、ああほんと最近わかった
ことなんだな。
ほんと凄い。面白かった!
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TITLE: 『『こころ』大人になれなかった先生』
AUTHOR: シキ
DATE: 11/24/2009 15:35:21
STATUS: Publish
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BODY:
『『こころ』大人になれなかった先生』(石原千秋/みすず書房)

高校生向けの本らしい。
図書館で見て借りてみた。

最初にテクスト、として、漱石先生の『こころ』の文章。

第一回 なぜ見られることが怖いのか
第二回 いま青年はどこにいるのか
第三回 静は何を知っているのか

高校の教科書に私の時も『こころ』は載っていて、先生の遺書 のところで、
激萌!漱石先生にすっかりはまったきっかけの作品です。

高校生向け、ということもあるのか、とても読みやすく解説もふむふむなるほど
という感じで、さらっと読了。
面白かった。
あらゆる読みを許す漱石先生のテクストの偉大さを思う。

一回の、なぜ見られることが怖いのか 面白かった。
視線が怖いというのは、日本人に独特の神経症であった、とか。昔はジロジロ
見るとか、面接で視線をあわせず、ネクタイの結び目を見るようにしましょう、
とかいっていた、というのは、そうだよなあと感覚としては思う。
けど、このごろだともう、しっかり相手の目を見て話しましょう、っていうのは
西洋的な考え、が、定着してきたもの、か。なあ。
視線恐怖は減ってきた、らしいとはいえ、まだあるんじゃないのかなあ。私は
あるけどなー。
で、先生も、視線にこだわりがあって、見られる「仮面」をつくり、外側を
つくり、しかし、先生の倫理によって、外側と内側をひとつにしようとして
心が不安定になる、というような。
先生は、叔父の裏切りによって、大人になりきれなかった、とか。

でもでもでもでも。先生、可愛いよ先生!と、たまんないです。
ものすごく久しぶりに、先生と私との出会いとか読んだけど、まあもちろん
いろいろ思惑はあれども、これは恋だろー。すれ違いも、誘いも拒絶も、期待も
裏切りも。先生とKも先生と私も。先生誘い総受けみたいな。
と不埒なことも思いながら。やっぱり漱石先生の文章好きだなあと実感でした。
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TITLE: 『世界音痴』
AUTHOR: シキ
DATE: 11/20/2009 12:58:16
STATUS: Publish
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BODY:
『世界音痴』(穂村弘/小学館文庫)

飲み会が苦手である。
コンパだとか忘年会だとかに参加する機会はなくなってきたものの、
飲み会で「自然に」楽しみ、席をあちこち移動し、そのあたりの人と
楽しく談笑している人は羨ましい。
そんな人は、穂村さんのこのエッセイを読んで、うんうんうんうんうんうんうんうん!!
と、共感し、ダメだーと思い、いやここまでではないとか思い。
ハマっちゃうのだと思う。

2002年に単行本で出た本の文庫化。
それ以前の雑誌や新聞のエッセイのまとめ。
私は先に歌人穂村弘のほうにはまって、それから出てる本を片っ端から買いそろえて、
エッセイ読んでますますハマったなーというところ。

この本の中にある、人生の経験値とか、「世界音痴」という言葉とか、すごく
キャッチーでうまい。さすが言葉のプロ。
どれも2、3ページほどのエッセイ。読みやすくて面白くて、さらにハマリ度の高い
感じがほんとうに上手い。
そして時々切ない。ううわあああ。

飲み会で自然に楽しくあちこちで談笑できる人はあんまり共感しないのかなあ。
でもきっと、そう見える人もホントは苦手だなあって思いながら「自然に」見える
ようにがんばったりしてるんじゃないか。

世界を歌いこなせる人は、たぶんきっと、たくさんはいない。

と思いたい。

エッセイのあとに、短歌が添えられているのもあって、そういうのも楽しい。
短歌を知らない人が短歌に興味を持つきっかけになればいいんだろうなあ。

さてこの本のこと全部が全部ほんとうのことのわけはないけれども、それから月日は
流れ、穂村さんはますますリア充に。(たぶんこの昔からきっとリア充だったね)
文庫を読みながら、ああ時間がたったんだなあと、感慨にふけってしまったりだった。
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TITLE: 『由利先生と愛しき日々』
AUTHOR: シキ
DATE: 11/19/2009 18:35:59
STATUS: Publish
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BODY:
『由利先生と愛しき日々』(木下けい子/大洋図書 ミリオンコミックス)

『由利先生は今日も上機嫌』の続編ですね♪

戦後まもなく。(だったと思う)
売れっ子作家由利先生の担当である創幻堂出版勤務の六車くん。
前巻で二人は晴れてラブラブになったものの。今回は、ライバル作家(?)
高等遊民美形派手好き亡き母ラブな佐倉先生やら、由利先生にお見合いさせて
家継がせようって義母やら、勝手に婚約者になった女子学生の柚子ちゃんやら。
いろいろやってきて、二人のつまらない意地の張り合いからすれ違いー。
っという。
ハラハラしつつも、きゅんきゅんなラブラブ物語でした。

って、頭悪い文章書いちゃうな。。。まあ、基本相思相愛で惚気ものだからな。。。
いろいろ定番どおり。

しかし。
いいのだよ。
すべて。
由利先生がもうたまらなく素敵すぎて、そりゃあメロメロになっちゃうだろー。
六車くんががんばってたりけなげだったりしてもう可愛いったらありゃしない。
定番どおり、とはいえ、とっても丁寧によく描いていて、この絵柄とか間合いの
感じとか、すっごく素敵だ。大好きだ。
えろすはそこそこ。あまあまだ。いいなー。いいなー。由利先生素敵~~~。
セリフもほんとうに素敵。
由利先生のセリフ感動だ。泣きそうだよ。
由利先生の過去とか、ほんとごく断片しかわかんないんだけども、ものすんごく
想像が広がってもんのすごく思い入れしちゃって、先生がそんなこというように
なるなんてっ。と、自分の妄想に自分で感動するよ。
そんなにも想像させてくれてありがとう、と思う。素敵だー。

私は佐倉先生かなり好きだ。エノキヅさんタイプだろう~。好きすき。
猫の平蔵くんも可愛い~~。ああ。なんていいにゃんこなんだ。

これでもう続きはない、のかな。でも前んときも、続きがでるとはあんまり期待
してなかったし。あとは二人でいつまでも仲良く暮らしていってくれるといいなー。
ということで。きれいな終わりでもういいわ、と、思う。この二人がまさに「愛しき日々」
すぎて、不幸になんてあってほしくないー。
いいマンガでした。
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TITLE: 『透明標本』
AUTHOR: シキ
DATE: 11/16/2009 18:53:52
STATUS: Publish
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BODY:
『[新世界]透明標本』(富田伊織/小学館)

透明標本。
肉体が透き通った生き物の中の、骨、が、青く、赤く、紫に鮮やかに見える。
標本?
硝子細工?

きれいだ。

「特殊な薬品につけることで「筋肉を透明化し、軟骨を青く、硬骨を赤く染色する」
という骨格研究の手法です」

ということです。解剖が難しい小さな魚やその壊れやすい繊細な骨までも、
くっきり見えるようになる、のですね。
骨とか見るのイヤだ、という人の場合はグロテスクに気持ち悪いかもしれないけど、
透き通る生き物、きれいな青や赤。私にはとてもうつくしくみえます。ため息モノ。
すごい。

神様のデザイン、と思う。脊椎動物の背骨。きれいにならぶ骨。
生き物って、よくできてる。
亀の甲羅、全体が骨ってわけじゃないのか。肋骨みたいな、葉脈みたいな、骨になってる。
甲殻類は全体の形がそのまま半透明な感じ。
すごい。

つくりものみたいな、でもこれは生き物だったから。すごく綺麗ですこしこわい。
すこしこわいので、とても魅力的。
すごい。

骨はきれいだ。生き物はきれいなんだね。
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TITLE: 『どうして書くの?』 『人魚猛獣伝説』
AUTHOR: シキ
DATE: 11/09/2009 12:28:26
STATUS: Publish
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BODY:
『どうして書くの?』穂村弘対談集(筑摩書房)

明治から遠く離れて 高橋源一郎
生き延びるために生きているわけではない 長嶋有
不確かな“日常”、立ち向かう“言葉” 中島たいこ
歌のコトバ 一青窈
うたと人間 竹西寛子
言葉の渦巻きが生む芸術 山崎ナオコーラ
「酸欠」世界から発する言葉 川上弘美
言葉の敗戦処理とは 高橋源一郎

以上8つの対談、7人の言葉を書く人と穂村弘との対談集。
中身とは関係ないけど、表紙の感じとかパンダがすごく可愛い本。
ヨンダ?って思っちゃうけど、筑摩の本だ。
それぞれの対談ごとに、活字が違っててページのレイアウトの感じも
違うけど、内容にあわせたのか雑誌掲載時のイメージなのか?
細々心配りしてるんだろうなあと思う本。

最初の高橋源一郎と、中ほどの竹西寛子との対談が2001年、2002年で、
ちょっとあいて、2005年以降、な感じ。古い年のもののほうが、勝手な
印象だけど、堅苦しいというか、緊張してしゃべってるのかなーという感じ。
あとは女性作家さんとかから、ファンです~って言われながら対談してるのは、
へー、という感じ。正直羨ましい!ファンな作家さんと仕事できるなんて!(笑)

あまり短歌として、というのが前面には出てなくて、もちろん歌人として
ってのはあるけど、それよりは、タイトルどおり、「書くこと」について
話してる。対談相手の方の話も、穂村さんの話も、「書くこと」「書くひと」で
あることを聞かせてもらってる感じで読んでとても面白かった。
当然ながら、みなさん真摯です。素敵でした。

私が一番面白かったのはやっぱり高橋源一郎との対談二つだな~。
今敗戦処理なんだなー。ヤダなー(笑)。
ま、笑うしかないですね。
面白かった。

『人魚猛獣伝説』(穂村弘/かまくら春秋社)

スターバックスのHPで、短歌募集して、のエッセイの連載をしていたものが本になりました、という本。
スタバが出てくる穂村さんのほかのエッセイもはいってたりした。
さくさくを楽しく読んで、スタバへいってなんだか素敵になりたいなーと
いう気持ちにさせてくれる本。
投稿短歌ひとつひとつの丁寧な読みとか楽しい。

私はスタバで買った緑な表紙。書店売りは、12月かららしく、赤な表紙になるようです。
中に折込の台紙もイラストとか変わるのかな。
。。。両方買うほどは、釣られないぞっと。
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TITLE: 『ROMES 06』 『秘密』7
AUTHOR: シキ
DATE: 11/02/2009 12:05:54
STATUS: Publish
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BODY:
『ROMES 06』(五條瑛/徳間文庫)

その空港は最新の最高の警備システムで守られている。
システムの名前はROMES。その専用を把握しているのは、
成嶋優弥ひとり。
ある脅迫文書が届く。“チーム”と名乗る彼らの目的は何か。ROMESを
駆使することによって、空港は守られるのか。

といった感じ。
ハラハラわくわく。単行本も買ってますが、文庫も。NHKのドラマ化、という
帯がつき、五條さんの本にしては大々的な感じ。(失礼かな)
でもドラマはなあ。。。
ドラマは、こっちと、続編の誘惑の女神のほうと、両方適当にさらっと混ぜて
若者出して軽めに仕上げてます、って感じで。。。とはいえ見てるんだけど。。。
まあドラマ化って時点で別物と思わなきゃダメだ、と、自分に言い聞かせつつ。。。
うーん。
私としては、格段に原作が面白い大好き、と思う。
なにがどうあれ、五條さんがメジャーになっていくのは、寂しく思いつつも
(身勝手なファン心理。ごめんなさい)自由に書きたいもの書き続けてくれるような
環境になるといいのになあと思う。
革命のほうとか鉱物のほうとか、頼みます~~~~。

『秘密』7巻(清水玲子/白泉社ジェッツコミック)

拉致被害者。
政府を代表する大臣。

これはもちろんフィクションで、近未来で。2重に仕掛けられた罠。
犯罪、で。考えうる限り非情な復讐。
しかし、誰が被害者なのだろう。誰が加害者なのだろう。
こんなにもこんなにも、深い絶望と哀しみとやりきれなさ。
清水さんのますますの力量にひたすら圧倒されました。

そして、薪さんーーー。青木のばかーーー。
こっちのほうももうもうもうもうすごくすごくすごく気になるしもどかしい!!!
待ってます待ってます。ひたすら待ってます。大好きです。
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