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2011年6月

TITLE: 『新世界』
AUTHOR: シキ
DATE: 06/11/2011 18:14:32
STATUS: Publish
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BODY:
『新世界』(柳広司/新潮社)

ロスアラモス。
優秀な科学者が集められた極秘の町。新しい爆弾の開発が進められる町。
爆弾が完成し、日本が降伏した知らせをうけて戦勝パーティの日、馬鹿げた
事故の翌朝、病院で一人の患者が殴り殺されていた。
科学者を狙った間違いの犯行なのか?

柳さんのところに、ある日編集者を紹介してくれ、と持ち込まれた
原稿、という始まり。原爆の父を呼ばれるオッペンハイマーの死後見つかった
遺稿の中の小説だという。
なんでそういう設定にしてるのかよくわかんないけど。原爆のことを書くのに
ミステリの体裁をとるとか著者にワンクッション入れるとかそういうことなのか。

ちょっと、どう捉えていいのかわからない。
エンタテイメントとしてすごく面白い、というほどでもないかーと思う。
原爆をつくった科学者も所詮ただの人間、という話なのか。んー。どうにも
中途半端な感じがする。今読んだからなのか。

しかしたまたまたとはいえ今日読みきったんだけど。
三月十一日から三ヶ月。地震のあと。原発事故のあと。
この本は二〇〇三年刊で、関係ないんだけど。核のことを思うのは、この暗鬱たる
気分のときなので普通に面白いのかどうか判断がつかない。
原爆を落とされたわけじゃないけど。今現在も被曝しているかな、と頭のどこか
でずっと思っている。ただちに健康被害があるわけではない、のだろうけれどもね。
どうにも自分自身この世界に言葉がないし考えられないし受け止められない。
原爆がつくられたときから開かれた新世界。死神と破壊の世界。その地獄が
遠くなったはずの今、また目の当たりにしてる。
核実験の成功はまさにパンドラの箱だったのだと思う。時間は戻せない。
希望が残っていることを、希望の未来があることを願う。
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TITLE: 『黄金の灰』
AUTHOR: シキ
DATE: 06/10/2011 18:06:44
STATUS: Publish
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BODY:
『黄金の灰』(柳広司/原書房)

古代ギリシアの夢。幻のトロイア。
夢から黄金を発掘しあてた男、ハインリッヒ・シュリーマン。
彼がついに黄金を発掘した時、殺人事件が起こった。

柳さんの長編デビュー作、だそうで。2001年刊。
シュリーマンの若き妻、ソフィア視点からの語り。シュリーマンについては
私は、えーと、一応名前程度は知ってるかな、というくらい。むかーし子供向け
伝記シリーズみたいなので読んだことがあるかも。
なので、この小説中のシュリーマンの造形がどの程度史実的なものかはわかんない
けども、まあ、別にそこは気にしないでそういうキャラなんだろう、ってくらいで
読んだ。シュリーマン好きだったりすると余計に楽しめるのかな?わからんけど。

正直に言えば私にとって面白い話ではなくて、読んでると眠くなって仕方なかった。
なかなか読み終わらず。
んーでもたぶんご本人的にも、まだ下手だったのでは、と勝手に思う。
あと私個人的好みとして、メインキャラが女性って時点で興味激減。シュリーマンも
あんまり魅力的とも思えず。いろいろとってつけたような筋立てかなあと思った。
最初に読んだ本がこれだったら、柳広司を追うことはなかったなーと思う。
夢の中でなんかいろいろ出来事が走馬灯になる感じはもうこの最初っからあるパターン
なのか。
ちょっとだけ微妙にファンタジーめいていたりするのが邪魔に私は感じる。
ギリシアのロマンってことだからそういうのもありなのかなあ。
ソフィアが何者なのです、とかいう問いも放置されたよーな。ブラウンさんって一体。
ラスト、その後の歴史とか大雑把にやるより、もうちょっと細部を丁寧に書いて欲し
かったなあと思った。
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TITLE: 『贋作『坊ちゃん』殺人事件』
AUTHOR: シキ
DATE: 06/08/2011 15:05:47
STATUS: Publish
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BODY:
『贋作『坊ちゃん』殺人事件』(柳広司/角川文庫)

親譲りの無鉄砲で子供のときから損ばかりしている坊ちゃんが
三年ぶりにかつて教師をしていたところへ戻る。
あの時天誅を下してやったと思っていた赤シャツが、あの日の後、
自殺していたというのだ。
東京の街で偶然再会した山嵐にその話を聞き、なりゆきでそのまま
一緒に旅にでる。赤シャツは、殺されたのか?
 
『坊ちゃん』は読んだことある。けども、昔のことだしあんまり細々した
ことは覚えていないと思う。
でもこの文体。この言葉遣い。このテンポ。この無鉄砲(笑)は、ものすごく
本家『坊ちゃん』な感じがする~。解説にもあったけど、『坊ちゃん』をまた
すぐ読みたくなったなあ。つきあわせて読みたいような。お見事。
3年前に坊ちゃんが経験したことと、まさに世界が変わる。見方を変えると
こういうのもありだったのかもよ。と、思わせられるー。面白い。
しかしこれ、えらく物騒じゃないですかわがふるさと松山は(笑)
社会主義と自由民権運動との対立と闘争の舞台だったのかよ。タイヘンだ。
でも学校ってそうだったのかも。と思わなくもない感じになっちゃう。

天皇がどーのってなったり。夢の中で推理(?)が進んでいったりするのは。
『トーキョー・プリズン』でもあったなっと。こっちの方が書いた時期としては
先か。そしてなんだか、うらなり君がかっこいい。黒幕だなんて素敵。
そういう目でやっぱりもう一度、『坊ちゃん』を読んでみよう。
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TITLE: 『ダブル・ジョーカー』
AUTHOR: シキ
DATE: 06/04/2011 12:37:19
STATUS: Publish
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BODY:
『ダブル・ジョーカー』(柳広司/角川書店)

陸軍に極秘に組織されたD機関。
「魔王」と呼ばれる結城によって組織されたスパイ養成機関。

短編。「野生時代」に出たものと、書下ろしひとつ。
 ダブル・ジョーカー
 蠅の王
 仏印作戦
 柩
 ブラックバード

結城の過去がちらっと出てくる「柩」、かっこよかった~。
やっぱドイツだよねー。そしてさらにその上を行く男、としての結城かっこいー。
ちらっとだけ優しいのもかっこいい。
まったくのアクシデントの事故で最初から死んでいた真木もなんだかかっこいい。
「蠅の王」も好きだった。いきなり笑えない漫才(?)で始まるのは苦笑、と
いう感じだけど。
最後ので戦争が始まってしまったので、このシリーズは終わりなのかなあ。
面白かった。
でも長編が読みたいー。
 
まー雑誌に発表だから仕方ないんだとわかってるけど、D機関の説明の感じが
繰り返されてるのが、まとめて読むときにはちょっと邪魔に感じた。
結城は影の存在だから仕方ないけどーでも結城主人公で長編読みたいーと思う。
しかしスパイなみなさん超人すぎる。私があまりに凡人だからダメなのか(^^;
あくまで私の勝手なイメージだけど、陸軍よりは海軍すきーで、なんか日本の陸軍
ダメ軍なイメージなので、ちょーっと乗り切れない気はする。なーんかどーにもうーん。
ま、この話の中でもD機関以外の軍はダメ軍っぽくてそれはまあそうかとも思うけど。
で、やっぱり日本人はスパイはダメなんじゃ、という思い込みがあるので、嘘臭さに
拍車がかかるというか。ま、お話だからいいんだけど。
でもやっぱりどっちかというと長編が読みたいな。

 
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TITLE: 『ジョーカー・ゲーム』
AUTHOR: シキ
DATE: 06/02/2011 20:58:59
STATUS: Publish
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BODY:
『ジョーカー・ゲーム』(柳広司/角川書店)

短編集。
 ジョーカー・ゲーム
 幽霊 ゴースト
 ロビンソン
 魔都
 X X ダブル・クロス

「魔王」と呼ばれる男。結城中佐。かつて優秀なスパイだったという伝説
めいた逸話を持つ男。
陸軍に極秘に設立された諜報員養成所―スパイ養成学校。D機関という
そこは結城の指揮下にあった。
軍人以外から選ばれたそのメンバーは常日頃から偽名であり素性は一切
隠された。スパイとは、何事にもとらわれない。見えない存在になること。
 
「ジョーカー・ゲーム」が一番面白かったかな。D機関最初期、というあたり。
軍との連絡員、であるという佐久間くんがいい。
他、D機関を卒業したスパイたちのそれぞれの活躍。短編なので期待よりは
あっさり。おそろしく先をよむ男、結城。スパイそれぞれも超人的優秀さ。
「魔都」も好きだった。
上海とかって、退廃のイメージ~。及川大尉は、名前的にもみっちーを
脳内キャスティング。
でももうちょっとそれぞれを深く読みたい感じ。
「ジョーカー・ゲーム」と「魔都」はそれぞれが一冊の長編として読みたいよ。
魔王結城の過去とかねー。

というところで、あーやはり私は五條瑛が好きだ大好きだ、と思った。
また五條さんのが読みたくなる。
でも次、『ダブル・ジョーカー』読む。
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TITLE: 『トーキョー・プリズン』
AUTHOR: シキ
DATE: 06/02/2011 15:52:02
STATUS: Publish
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BODY:
『トーキョー・プリズン』(柳広司/角川文庫)

スガモプリズンにやってきた、エドワード・フェアフィールド。
ニュージーランド人。今は軍からは離れている。戦前の仕事、私立探偵。
戦時中行方不明になった捕虜の行方を探している。その調査を認める代わりに、
交換条件をつけられた。このスガモプリズンで起きた変死事件を調べて欲しい、と。
 
柳広司を初めて読む。『ジョーカー・ゲーム』が人気、っていうときに名前を
知ってそそられていたものの、図書館でなかなか借りられなかったのでそのうち、
と思っていた。で、まずは気になったこれも、と借りてみた。
すごく面白い!

スガモプリズンを舞台にミステリ、というのも面白いし。キジマがなんといっても
魅力的。かっこいー。
記憶をなくした男。しかしずば抜けた推理能力で一目でフェアフィールドのあれこれ
を言い当てる。シニカルで頭脳明晰、苦しみの中にある美青年。ということで惚れる~。

戦争。戦後。そういうのを考えるのは苦しくて私は逃げがち。
エンタテイメントの小説の中でこんなにきっぱり描いてるの面白いなと思った。
テンノウとかまで書くか。というか、そんなの気にするのは私だけ?わからん。
舞台としての戦後なので、フィクションなわけだけど、あんまり平静でいられない。

事件の謎、キジマの謎、少しずつ明らかにしていってひっぱるのに私は
すっかりつかまれて、面白いやめられないとまらないで一気。実はキジマは、という
話は途中のは見当ついたものの、最後のほうのキジマの手記はステキだった。
でもそれもどこまでホントなんだ。何がホントなんだ。と思う。そういう風に思わせ
られるのは私がすっかりはまったからですね。
面白かった。
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TITLE: 映画『マイ・バック・ページ』
AUTHOR: シキ
DATE: 06/01/2011 19:16:38
STATUS: Publish
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BODY:
六月。
さるさる日記がなくなるそうなので、引っ越しを考えなくちゃいけない。
今までのデータどうしよう、とか、めんどくさくって。。。
引っ越し決めたらお知らせします。(と、いるのかいないのかよくわからない
この日記を見てくださっている方へお知らせでした)
 
 

映画『マイ・バック・ページ』

1969年。週刊誌記者となった沢田は本来の希望とは違う配属先で
仕事に迷いを持っていた。
学生運動をやろうとする片桐は、激しい議論はするものの、実際の
行動や目的にはほど遠かった。

雨を見たかい って歌好き。その「雨」ってナパーム弾のことなの?え?
時代は学生運動真っ只中、よりは少し後。ベトナム戦争に記者は憧れる
頃だったのか。松山ケンイチは、ノルウェイの時もこの頃の学生、だった
のだと思うけど、もちろん全然違うもっさりした学生になっていた。口先
の議論は勢いいいけど、すぐに口先だけののヘタレ、という姿が見える。
でも少しは人をひきつける、という、一瞬見せる顔、というのがぐっとくる
感じがあって、松山ケンイチすごいーと思う。暗い中に梅木(片桐)の顔
だけ見える感じ、とかひきこまれる。
沢田をやる妻夫木くんもすっごくすっごくよくって、最初の頃の青臭い感じ
から、ラストにいたるまで。セリフとか大きなアクションがあるわけじゃない
のにその姿とかそこにいることで見せるものがすごくあるいい役者だ、という
感じがした。「悪人」見なかったけど、こーれはー。ほんとにいい役者に
育ったのだろうなあと思う。「悪人」も見ようかな。

話としては地味。殺人事件、というか、事件、はあるけども、地味。
あの頃の彼らを見る、という感じ。ノスタルジーや感傷の甘さよりは、
淡々とただ彼らがいるという感じがして、よかった。
私が妻夫木くんも松ケンも二人とも最初から好きだから贔屓目かなあ。
んーでもよかった。
川本三郎の自伝的小説?の原作らしいけど、本は読む気がしない。なんか
川本三郎嫌いってい印象だけがあるなー。昔なんか読んだことがあって厭な
感じが残ってるんだなー。

出番はほんの1シーンだけど、三浦友和が凄い。きっちり大人だった。かっこいい。
役者がみんな素敵だった。
でも沢田も片桐くんもまったく好きにはならなかったなあ。妻夫木くんと松ケンは
もっと大好きになった。学生運動って。何なんだろうなあ。。。
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