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2009年8月

TITLE: 映画「サマーウォーズ」
AUTHOR: シキ
DATE: 08/26/2009 18:49:33
STATUS: Publish
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BODY:
映画「サマーウォーズ」

みんなの憧れである夏希先輩に、夏休み、4日間だけのアルバイトを
頼まれる健二。
上田市の旧家である夏希先輩のおばあちゃんちに、親族一同集まり、
おばあちゃんの誕生日を祝うという。
その席で、夏希の彼氏役をする、というのが、アルバイトの内容だった。

公開前に特番があったりして、つい見てしまったりしてて、まあその
大体予想通りのことが予想通りの展開であり、あああんなに特番とか
見なければよかった、というところ。
陣内家の親族一同のみなさんと、健二とが、仮想世界オズの崩壊の危機を
救いハッキング人工知能をやっつけます。というシンプルな話。

えーと、ほんとよくできてるし、素直に面白いとか、家族の絆だとかに
感動すればいい、けど。でも、ううううーん。素直すぎるというか。
素直に感動しない私が悪いのね、という気になるだけなんだけど。
ひねくれた、というか、実際大家族というか親族関係とかがある私としては
あんなきれいにまとめられた家族なんていくらアニメだからっていっても
あまりにもご都合主義にすぎる感じがどーしてもしてしまうし。
家族の絆、とかいったって、やっぱ陣内家、今は財産もなく、とかいうこと
らしいけど人脈があってハイパーエリートな感じででも、そんな都合よく
うまくいくか???というのが。ううう~~~~~ん。
理一さんにしたってなあ。
健二くんも、この事件のおかげで数学の天才として目覚めたのかもしれない
けれども、でも、そんなスーパー頭脳で、とかにしても。なんで
あの一家だけで世界を救うのにちょうどよく人材も機材もそろうのさ。
つかマジで米軍はなにやってんだ、とか。
結局おちてくる人工衛星は一つなんだから、どっかの原発におちても、まあ
その地域は壊滅的になるかもしれないけど、世界が終わるってほどでも。。。
とか。ううう~~ん。いろいろ、なにかにつけて都合よすぎ。。。って
思っちゃって、うう~んアニメだからっていってももうちょっとなんかこう
説得力がほしいかも、なんかこう壮大なことをご親戚みなさんで、っていう
のにはやっぱり無理があるんじゃないのかなあとか思っちゃった。
ま、そんなことは気にせず、がんばれーとか、感動~とか、さわやか~とか
思ってみればいいんだろうと思う。でもなあ。。。

ううーん。ま、いっか、という感じでした。面白かったけどね。
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TITLE: 『徒然草 in USA』
AUTHOR: シキ
DATE: 08/16/2009 10:32:02
STATUS: Publish
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BODY:
『徒然草 in USA』自滅するアメリカ 堕落する日本(島田雅彦/新潮新書)

オバマ大統領と同い年の文学者による 21世紀版「アメリカと私」

とい帯がついてて、著者の写真もあり。
でもこの写真はちょっといまいちな気がしないでもない。島田さんは
もっとかっこいいよ!と、勝手ながら思う。

オバマ大統領が誕生した日、島田さんはアメリカにいたそうで。
1988年にも一年ニューヨークにいた時に、大統領選があって、レーガン政権
の終わり、父ブッシュ大統領の誕生の時、だったそう。今回は子ブッシュ政権
の終わり、オバマ大統領の誕生、ですね。どちらの時も一年ほどのNY滞在
だったようです。
実際にアメリカで暮らしていて、世界変革の時であった、ということからの
徒然草。
私が見たアメリカ、ということで、まさに徒然草。こういうことを考えた、
というもの。さくっと読める。そしてなんかわかった気になる。気になる、だけ
で、なるほどふ~ん、というだけで、厳密に何事かを検証してるわけではない。
とても面白かった。

私は海外経験はないので(昔昔のハワイ旅行程度だ)アングロサクソンの差別
とか、WASPとかいう感覚はよくわからないのだけれども、当然ながらある
だろうなあとは想像する。
対等とか平等なんて幻想だ。対等とか平等とか言い続け理想を追い続けないと
いけないから言うスローガンなんだろうと思う。
アメリカと日本。
世界と日本。
どうなるんだろう。
ソ連がなくなったときもびっくりしたけど、そんな風に世界が変わることが
ある、って目の当たりにしたのはよかったのだとは思う。
でも、変わっていくことが不安、常に不安。
未来に希望はあるのかなあ。
そして、旅をしなくては。
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TITLE: 『にょにょっ記』
AUTHOR: シキ
DATE: 08/13/2009 21:09:59
STATUS: Publish
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BODY:
『にょにょっ記』(穂村弘/文藝春秋)

『にょっ記』の第2弾ですね。
にょにょにょっ記 とか続いていくんだろうか。にょにょにょにょにょにょっ―

日付のあるものなので、買ってきてまずぱらっとした時に、自分の誕生日とか
見てみたりします。が、なかった。がーん。
ま、毎日分あるわけじゃないからいいんだけど。
穂村さんに嫌われてるのかしらわたし。って無意味な妄想で軽く落ち込む。バカ。

時々出てくる天使が可愛いけど、まーなんというか、穂村さんはこういうのが
好きなんだなあと思う。

時々出てくる、昔の本の中身が凄くて、面白い。うむー。
やはり本は恐れずにたまにはこういうテンションでどっかんといくべきなのでは
ないか。そして未来の誰かになんだこれ、って言われるといいと思う。

吉祥寺とか、井の頭公園とかの地名がちょっとわかるようになってうれしい。
もちろん幻の本の中だけの世界でいいんだけど、うんうんっていえるのもいい。

どのくらいほんとのことが混ざってるのか不思議だけど、(100%フィクション
ではないだろう、たぶん)こういう絶妙な感じできりとって見せてくれるのは
面白い。でもずっとおっかけて読んでるので時々マンネリ、とも思う。
でもマンネリもへこたれずにいけばやがてマリネラのようになるかも、と、
思わなくもないので、どこまでいくのかまだついていきたい、かなあ。なかなか
微妙なところ。どうなるだろう。

そしてやっぱりとっても素敵な本。表紙や装丁や、フジモトマサルさんのイラスト
が完璧に面白い。そうくるか!と思う。可笑しいけどクールで素敵。いいな~。
本文の文字もページの色合いも好きだよ。
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TITLE: 『祝福されない王国』
AUTHOR: シキ
DATE: 08/12/2009 19:22:51
STATUS: Publish
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BODY:
『祝福されない王国』(嶽本野ばら/新潮社)

新世界を描く、黒い寓話集
と帯にあります。寓話集。9つの短いお話。どこにもない国の物語。

雑誌連載されたもので、藤本由紀夫さんという方の写真、オブジェを
発想のもとにして物語を捏造していった、そうです。
音楽のDUBという話をあとがきで書いてますが、えーと、音楽のそう
いうのは詳しくないのでわかんないんだけど。

インスピレーションのもとになった写真を見ても、そんな物語が出てくる
とは思いもよらなくて。それはもちろん野ばらさまの作品になってるし。
どの話もすっきりはしなくて理不尽だったり不気味だったり哀しかったり
する。
かなり素敵です。
というかもうすごく素敵です。
今までの女の子、乙女、少女の物語、というのとは違うなあというのは
私はイヤではなくて、好きです。違うけども、野ばらさまだと思うし。

海の神様、海がとても神格化されているのが多いなという印象。
命の源として、海がふさわしいのかもしれないなと思う。
海。
こわいですね。

本の表紙の見返しのところ(?)、本を開いたら野ばらさまの顔写真が
ドアップ!にプリントされてて、どっきりしちゃう。

きれいな本です。黒い寓話集というのにふさわしい。
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TITLE: 『「謎」の解像度』
AUTHOR: シキ
DATE: 08/11/2009 12:03:45
STATUS: Publish
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BODY:
『「謎」の解像度』ウェブ時代の本格ミステリ(円堂都司昭/光文社)

2004年から2007年にかけて雑誌連載されたものと、書き下ろしを含む本。
取り上げられている本も大体その頃に出版された作品が多い。

有栖川有栖、綾辻行人、折原一、芦辺拓、北村薫、法月綸太郎、麻耶雄嵩、
島田荘司、道尾秀介、清涼院流水、歌野晶午、貫井徳郎、我孫子武丸、
竹本健治、西澤保彦、京極夏彦、米澤穂信、北山猛邦、山田正紀
などのミステリの分析、かな。

ちょうど私がミステリというのを読まなくて興味をなくしたあたりからのことなので、大部分は読んでない作家作品のこと。
京極夏彦くらいか、全部読んで今も好きで、っていうのは。
なので、ふーん、というくらいな熱意しか持たずに読んだ。
じゃあなんでこの本読んだんだよ、と自分でも思うけどえーと、離れたとは
いえ一時はかなり熱中していた本格とか新本格とか、ミステリとかにまだ
興味や未練はあるの、って感じでしょうか。バカバカ。

京極夏彦のところなら知ってる。で、うーん、そんなに目新しくなるほど!って
ほどでもないか、という気がした。事件を物語化し妖怪として落とす、って、
そのまんまやん。環境とか。ふむーという感じ。

書き下ろしである「ゼロ年代の解像度」はちょっと面白かった。
ハイレゾリューション(高解像度)を望む層とローレゾリューション(低解像度)
で十分だという層で需要の分化が起きている、という引用。
ローレゾシューションはユーチューブ、ニコ動的なネタ的コミュニケーション。
ハイレゾリューションはDVDや最近ならブルーレイな、パッケージされた商品。
清涼院流水以前はハイで、以降はロー、ネタ的なんだというのは、なるほどーと
思っちゃう。わかりやすすぎるかなあ。もちろんすべてがという話ではなく、
どこに焦点をあてるか、で。
解像度の多様化、というのもなるほどです。
うーん。ここでもやっぱり、島宇宙的というか、どの解像度をどう選ぶか、という
多様化、好みの細分化が起きてるってことかな。
ま、好きなことだけ選んでりゃいいや、って私は思ってるし多くの人も思ってる
のではないか。でも、ミステリの未来は、とか、大きく考える人も必要なのかも。
その大きく考える人、っていうのも、多様化のひとつ、ってことかなあ。
もう大きな物語の復活はないか。
なくてもいいか。
どーなのかなあ。
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TITLE: 『そしてエイズは蔓延した』上下
AUTHOR: シキ
DATE: 08/09/2009 14:49:31
STATUS: Publish
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BODY:
『そしてエイズは蔓延した』上下(ランディ・シルツ/草思社)

1976年。ザイール、キンシャサで、医師として働いていた
グレーテはひどい疲労感に悩まされていた。
やがて故郷へ帰る。リンパ系の不調。カリニ肺炎というめずらしい肺炎。
不思議な症状だった。
1980年。サンフランシスコ。ゲイ・パレード。
その中のわずかの人数ではあるが、ゲイの男達が漠然とした身体の不調に
悩んでいた。
ゲイの誰もが求めるようないい男、ガエタン・デュカは、航空会社の
スチュワードで、その職権も大いに活用して、あちこちで出会いとセックスを
楽しんでいた。
ゲイの間に広まりつつあるように見える奇妙な病気。
それが一体なんなのか。
真摯な取り組みがなされないままに、刻々と人々は病に倒れていった。

上下巻の分厚い本に、小さい文字で2段組。たっぷり淡々と記述されている
エイズ蔓延の記録。
怒りも絶望も、無力感、奇跡を求める人々も、たくさんの、とてもたくさんの
人の記述。余計な感傷よりも雄弁なのは、刻々と増えてゆく患者の数と、死者の数。
ゲイの間の病気なんだから関係ないとか、あいつら自業自得だ、とか、差別偏見が
なければ、もっと早くになんとかできたのではないか。
ゲイの間で流行り始めたのが最初、というのが、病気に対する過剰な意味を持って
しまったこと。月にシャトルが飛ぶ時代、科学や医学の進歩への信頼が、むしろ
たかが病気なんて、という思いを生んだのかもしれないということ。
政治的かけひきによって、結果放置してばかりになったこと。予算がおりないこと。
たぶん決定的に悪人とか、目に見える仇とかは、少ない。
多くの人が、初めての事態に戸惑い、病気の正体が見極められないことい戸惑い、
なにをするべきかわからず、よかれと思うことにも確信を持てず、何よりも、何が
起こっているのかを見ようとせずにいた。
無知と恐れ。偏見と拒絶。
あまりに多くの犠牲。本当は、もっと早くにどうにかできるはずだったのでは。

著者、この本の時にはまだ生きていたんだ。ミルクの本のときには、著者もエイズ
で、死亡、となってた。

無知と、闘わなくてはいけないと思う。
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TITLE: 映画「ハリーポッターと謎のプリンス」
AUTHOR: シキ
DATE: 08/05/2009 16:09:03
STATUS: Publish
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BODY:
行ってきました~。

謎のプリンス、ってあの人のことだったの!?
ほんとー???
どういう意味~~~。
うーん。歌手プリンスのほうとだったら通じるところもないでもないかも、くらいな。。。
いかにも、さあ続く!という感じで終了。
最終巻は二部作で映画化になるようで、来年、再来年で、ハリーとも
お別れかと思うとさみしいわ。(嘘)

なにはともあれ、ハリーもロンも少年というよりは、青年、
すっかり育ったねえと思ったりしながら見る。不思議不思議。
ハーマイオニーはやっぱり美人。ロンのアホー。なんでとなりに
そんな可愛い子がいるのに、あんなのといちゃつくわけ~?
今回、ロンの人気っぷりにびっくり。
うーん。楽しく付き合うにはロンみたいなののほうがいいのか。
若者の考えることはわからん。
青春のラブラブ模様が描かれてましたが、たぶんやっぱりいろいろ
原作読んだほうがわかるんだろうなあと思ったり。なんでそう
くっついたり離れたりしてるのかいまいちついていけない。
ハリー、前は黒髪の、中国系の子といい感じだったんじゃないのー。
まー、そのへんは本筋じゃないからいいけど。

苦悩するドラコくんがよかった。彼プラチナブロンドだけど
眉毛はわりと黒っぽいよね。髪を染めてるの?天然でそういう
もんなの?
金髪意地悪キャラってことで、私はかなりマルフォイくんが好き
なんだけど、彼もすっかり育ったよな~~~。

一応舞台は学校、のはずで、先生と生徒たち、なはずだけど、
ダンブルドア校長ったら、生徒にそんなこと頼んでいいのか?
なんなんだ??と面白かった。
あのラストも、ほんとにそうなのか?まだどんでん返しがあるんじゃ
ないのか??
と、いろいろ半信半疑。
そしてやっぱり、次はどうなるのだというのが気になる。
ので、見終わって、終わった、って感じがしない。
楽しみ。

ところで予告でいろいろ見る中で、「カムイ外伝」がすごく
かっこよくって面白そうだ。
でもかっこよくって面白そうすぎて、逆に、これは予告編が
一番かっこよくって面白かったな。。。というタイプの映画なの
ではないかと心配になる。
始まったら見に行くべきかどうか。。。悩む。。。
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TITLE: 『空庭』その2
AUTHOR: シキ
DATE: 08/03/2009 12:00:23
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BODY:
*下、その1のつづき。

いくつか好きな歌。ルビは()で漢字のうしろに。漢字出せなかったやつは
簡単な字にしてます、ごめんなさい。

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 明日は来る(永遠に来ぬ)夏を待つ蝉の蛹の幾万光る

 月光が露草を抱くやうに抱く 樹液あふるる君のからだを

 ああ吾は誰かの過去世まなかひに雪ふる朝を地の底として

 朝焼けは植民地にも絢爛と来て世界中朝焼けだらけ

 冬の朝鎖(とざ)されて舌からめあふくちづけをやめないで、おとうと

 いまだ犯し足らぬと思ふ君の背を往く帆船のこぼすひかりは

 道の端(は)に金木犀掃き寄せられてその上をわれ歩むほかなし

 みんな死んぢやえばいいんだくさいろのティーポットよりあふるる音符

 渓水に唇(くち)を濡らせる九月尽あなたは人を殺しましたか

 目覚めては身の欲る真水一坏(ひとつき)にわたしは人を殺しましたか

 ゆっくりと東京はジャングルとなれ蘭を押し込む少年の口

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解説に岡井隆。「解説」などではないのだが、とのことで、率直にこの歌集を
楽しんでいる様が書かれていて、ううううう素敵です。。
つられて、第一歌集もsaiも手にした次第です。
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TITLE: 『空庭』 その1
AUTHOR: シキ
DATE: 08/03/2009 11:59:18
STATUS: Publish
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BODY:
『空庭』(黒瀬珂瀾/本阿弥書店)

著者第二歌集。
師である春日井建氏へ捧げる、あるいはその訃報に接したときの歌が
うつくしい。読んでいるだけなのに泣いてしまいそうに心の深いところ
へ響いてくる。

二〇〇九年刊。第一歌集から7年ですね。後記によると、第一歌集以後
6年間の歌を納めたもの。ゼロ年代の前半に当たる。とのこと。ゼロ年代
とか書いてるあたりからしても、この歌集にはサブカルの要素がたっぷり
ちりばめられている。
夏や蝉の歌が多いなと思っちゃうのも、今エヴァにどっぷりだし、真夏で
うるさく蝉が鳴きまくってるから目についちゃったかな。
前の歌集は物語的要素、耽美的要素が強く、もちろんサブカルテイストも
ありつつ、少なめかなと思ったけれども、この歌集では物語的耽美的な
味わいよりも、現実の事件、出来事、社会へ対応しているような歌が多い
と思う。シニカル。アイロニー。そういう捻りというかねじくりまわって
三周してるような感じ。
もちろん引き続きうっとりするようなエロスな歌もあり、そういうのが
大好き。
「花冠」という一連もあって、ひらがな多用のいかにも短歌というか和歌
というかのやわらかい花の歌でさすがうまいしきれいで好きだった。
そういうのもあり、シニカルもり、という幅の広い歌集。いろんな角度で
語り、論じることのできる歌集だと思う。歌数も多いよね。
前の黒い歌集と対照的に、白いきれいな本。持っててうれしい本。
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TITLE: 『黒耀宮』
AUTHOR: シキ
DATE: 08/01/2009 11:09:43
STATUS: Publish
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BODY:
『黒耀宮』黒瀬珂瀾歌集(黒瀬珂瀾/ながらみ書房)

第一歌集。2002年刊。

表紙が竹田やよいさんでびっくりする。
全体的に懐かしく思う。JUNEみたいだ、と思う。全体のトーンが。
序の春日井建氏の素晴らしい賛辞も歌も「最後に」というあとがきも。
「物語を書き綴るつもりでした。」というその物語は、きっと昔のJUNE
みたいな物語なのではないか、と思う。

言葉選びの大仰さも端正さも、道具立てもうっとりするものばかりで、
我に返ると恥ずかしくなるくらいだ。でもうっとり酔わせたままにして
おいて欲しいし、うっとりさせたままにするほどにきれいな本だ。

エヴァネタがはいってるのが、ああ今読むことになったのも運命、とか
勝手な妄想モードに入っちゃう感じ。
永遠の夏。

好きすぎて困る。
歌全部書き写したいくらいだけどさすがにそれはダメだから、いくつか。
(ルビは()で漢字の後ろに書いてます。かっこわるいけど)
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 The world is mine とひくく呟けばはるけき空は迫りぬ吾に

 愛さるるのみにしあればうす蒼き四肢は気だるくみがかれてゆく

 ふと気づく受胎告知日 受胎せぬ精をおまへに放ちし後に

 月無くて白河夜船 黒猫が人見(ひとみ)で恋を告げに来るとか

 性欲が憎いと囁ける君が桜浴びれば目眩む吾ぞ

 パーティーの前にトイレでキスをして後は視線をはづす約束

 今日もまた渚カヲルが凍蝶の愛を語りに来る春である

 薔薇の芽を摘むほどの悪事しか知らぬ君を利口にしてあげようか

 儚(はかな)しといふはけなげに囁くといふことである 君に降る雪

 ほろほろと狂ひはじめた君を抱く 秋風の舞ふその背中から

 犬のごと愛を求むるおとうとを組み伏せてわが命は寒し

 青年が脱ぎたるシャツの背に浮かぶ塩の結晶を味はひてみる

 殺人を犯すときさへその口で謝るやうな奴だねおまへ

 「いつかきみの肩の窪みに黄金の蜜を注いで舐めてみたいよ」

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くらくらします。妄想暴走です。好きだ。かっこいい。素敵。うっとり。
読んでみてよかった。
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