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2009年10月

TITLE: 『赤い羊は肉を喰う』
AUTHOR: シキ
DATE: 10/24/2009 18:03:48
STATUS: Publish
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BODY:
『赤い羊は肉を喰う』(五條瑛/幻冬舎文庫)

内田偲は、内田調査で働いている。社長と苗字が同じなのはたまたまだ。
社長あわせて全部で三人の小さな調査会社。
ブランドショップの新店舗のための事前調査をしているうちに、街に起こる
小さな変化の数々に秘められた悪意、誰かの意思を、感じるようになる。

文庫化されたー。というわけで買う。
ほんのちょこっとだけだけど、極東ジャーナルの葉山くんも野口さんも登場。
偲くんは本人の無自覚ぶり以上に賢くいい男、って感じ。
渡辺エスターはサーシャっぽくもあり、ん~、いい男はいいねえ。

悪意はあやつれるのか、という実験。
そんなにうまくいくかよ、という思いと、このくらいのことはあるかもな、
という思いと、両方がある。
統計、数字、調査。観察だけでなく、積極的に介入して、大衆を望む方向へ
あやつりたい、という欲望はあるだろうな、というか、当然あるんだろう。
夏の選挙も世論操作っぷりがすごいなあと思ったけれども。
でも今、世論操作しまくってるなあ、って、かなり多くの人が知ってるよね。
それでも、その通りの結果が出るのってなんなんだろう。
世論操作以上の深読み的行動なのか、もうどうでもよくててきとーなのか、
あえて操作にのっかってる、とか。それとも単純にまだまだ世論操作は有効
なのか。。。たぶんてきとー、ってところが一番大きいのでは、と、感覚と
しては思うけど、でも、てきとーって、まさにてきとーだから、単純に世論操作
にのせられとく、ってのと同じになってるのかなあ。
確かに選択肢が少なすぎる場合は操作もなんもどうでもよくなる感じ、かなあ。

統計とか、調査とか、すごく面白そうだ、と思える。

これは第二弾とか出ないのかなー。まだまだ使えるというか、詰んでない、まだ
なにかやらかしてくれそうな人物がいるわけで。
続きがあればいいのにな~。読みたいな~。
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TITLE: 『娚の一生』
AUTHOR: シキ
DATE: 10/21/2009 10:41:03
STATUS: Publish
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BODY:
『娚の一生』第二巻(西炯子/小学館フラワーコミックスα)

ひとりで生きていくために田舎の祖母の残した家で暮らし始めたつぐみ。
そこに現れたかつて祖母を慕っていた海江田。

二巻ではついにー二人が~。
もう妻とかって紹介されちゃって、あまりのステキさにくらくらしっぱなし。
ううー。
海江田先生すてきぃ~~~。
子ども使ってきたりして、お話のなにもかもが凄い上手いしステキすぎる。
うう~~~。
こんなん理想や。理想的すぎるわ。

あまりにも理想的すぎるんだけども、仕事のこととかちらほら出てきたり、
甘いだけじゃないセリフでぐぐっとしめたりしてるので、読める、かなあ。
でもつぐみー。もうう~。じれったい~~~。
次ではつぐみの過去をしる同僚に出会ってしまい、ってな予告がついてたので
たぶん、甘ったれのじれったいだけの女じゃないってわかるといいなあ。
どうかなあ。

確かに。
海江田先生の手とか色気ありすぎてたまらん。大好き。
でも、ぼくにはあんまりじかんない、て、単に年齢差だけじゃないことだったり
するのかなあ。『センセイの鞄』みたいになっちゃうだろうか。つらい。。
ひとりにせえへん。って言ったくせに。
これでまた残されたとしたらつらいじゃないか。ひとりでも大丈夫、って
ひとりでなんでもできる、って、そう思われていたって、ほんとは大丈夫じゃ
ないのに。

とまあ、すっかりメロメロにハマってます。
海江田先生にあいされたい。
うー。あいされるにはそうとう敷居が高いけど。
理想だ理想。こんなセンセイ、いないもん。漫画だもん。
かっこいいなあ。可愛いなあ。ステキだなあ。色気だなあ。大好きだ
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TITLE: 『黒い山』
AUTHOR: シキ
DATE: 10/17/2009 15:46:24
STATUS: Publish
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BODY:
『黒い山』(レックス・スタウト/ハヤカワ・ミステリ)

ネロ・ウルフの親友で、レストラン<ラスターマン>のオーナーである
マルコ・ヴクチッチが殺された。
その犯人を突き止めようと捜査に乗り出したものの、なんの手がかりもない。
さらに、ウルフの養女であるカルラから、ウルフの故郷、モンテネグロの
民族運動とのかかわりを聞く。
行方不明となたカルラの消息は、訃報としてもたらされた。
ウルフはモンテネグロへ即座に出立する。

1954年の作品、みたい。
翻訳は初めての作品、かな。私家版みたいなのは出てたことがあるような解説
でした。
ネロ・ウルフのシリーズはちゃんと全部翻訳されて出てるわけじゃないみたいで
絶版も多い、のか。でもこうして新刊が出たりもするのもなんか不思議。
もちろん今読んでもすごく面白いと私は思う。ウルフのキャラ立ちも、アーチー
くんが可愛い~~とかも。

今回は、ウルフが行動的。つか、驚異的。いつもは自分のうちから外へ出ること
さえ極端に嫌う巨漢が、海外まで出かけていっちゃう。
いつもはニューヨークの街を歩くのもタクシーにさえ乗るのも嫌がるのに。
船にも飛行機にものる。荒野を歩く。山に登る。
う、ウルフがこんなにアクティブでアウトドアで。アーチーくんのほうをひっぱり
まわしてる~。

ウルフの過去、が、こんな風だったのも。なんか凄い~。8ヶ国語喋れる。
ナイフで戦うこともできるみたい。
文句というか不満そうながらも、山歩きもするし足が痛いとかろくな食べ物もない
とかでも、目的のために猛進する。

正直、話がなんか、ええええ??と、民族運動とか、何がどうなってんだ、と
わかりにくいんだけど。スパイ小説になってんのか??
まあでも、言葉が全然わかんなくてウルフに振り回されるアーチーくんが可愛い
とか、二人で旅してなんかラブラブとか、面白かった。
最後、ウルフは大丈夫だったのかしら。ま、大丈夫なんだろうけど。
アーチーくんがほんともう可愛いなあ。大好き。いいコンビ。また読みたい♪
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TITLE: 『和歌とは何か』
AUTHOR: シキ
DATE: 10/14/2009 12:04:30
STATUS: Publish
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BODY:
夏ごろに読んだと思うけれどまだ感想書いてなかった。

『和歌とは何か』(渡部泰明/岩波新書)

和歌は演技している
という序章にあるように、和歌のレトリックや詠まれ方、読まれ方を
演技している、という見方で読み解いていこうというもの。
ふむふむなるほど、と、「演技」という見方はすんなり納得できる。
でも、すんなり納得できすぎちゃって、わりと当たり前なのでは~とも
思う。
和歌が日本人のこころをうつす、などと、どこで言われているのか私は
よくわからないのだけれども。やはりイメージとして、ありのまま写実
とかの言葉が強くあって、レトリックとかがあまり意識されないのかなあ
一般的に?一般的ってでもどのへんなんだよわかない。

1 和歌のレトリック では、枕詞、序詞、掛詞、縁語、本歌取り、
まとめの講義、と、丁寧に解説されている。わかりやすい。

2 行為としての和歌  では、贈答歌、歌合、屏風歌・障子歌、
柿本人麻呂影供、古今伝授 
という、歌が詠まれる、読まれる、場、についての丁寧な読み。
わかりやすい。

和歌を生きるということ、という最後のまとめには、現実の作者と
「歌を作る作者」とがあり、両者はぴったり重なるものではないことが
述べられている。そうだよねー。まったくの無関係なわけではないけれど
すんなり同一なわけはない。
古の作者の素敵さに思いを馳せたりします。が。人物の実在そのものに
ついては計り知れない。

和歌について、あんまりわかってない自分には、入門書として分かりやすく
てよかったです。
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TITLE: 『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』
AUTHOR: シキ
DATE: 10/13/2009 14:57:24
STATUS: Publish
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BODY:
『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』(町山智浩/文藝春秋)

週刊現代、サイゾーなど、雑誌に連載されたコラムなど。
06年~08年のあたりに初出。

映画評論等を読んだことがあって、結構刺激的?なタイトルで評判だった
みたいだし、借りてみた。
図書館で順番待ちしてると半年がかりだった。

内容としては、ごく軽いコラム。
アメリカにいる著者ならでは、な、中から見たアメリカ、かな。
ふーん。ほー。という感じ。
でも、タイトルみたいな、地理がわかんないからどうこうってのは。。。
自分もイラクの場所どこかさして、っていわれたら。。。自信はない。
まーさすがにオーストラリアのあたりを指したりはしないけど。東京がどこ
にあるかは、分かる、けど。日本地図完璧にはわかんないし。
と、まあ、そんなこんなはともかく。
ブッシュ批判とか、オバマかヒラリーかが大統領になるのかどうか!?とか
そういう空気みたいなのがさらっと読めるのはちょっと楽しかった。

楽しかった、とかいってる場合じゃないんだけどな。
アメリカ。
でも、だからどうこう、ってわけじゃないような気も。アメリカだろうか
日本だろうが、中国だろうが、うーん。庶民、とかいっちゃうとどうなのか
わかんないけど。。。あんまり世界情勢とか政治とか気にしないで生活して
ます、ってほうが多数派なんじゃないのか。。。。
気にしたほうがいいんだろうけれども。
それでも、いろんな世界中の国の人が集まり交流し新しいものが生まれる
場所でもあるんだなあ。
いいのか悪いのか。。。
私は、外人コワイとかいう、おっそろしく田舎根性の持ち主だけれども、
日本だっていろんな国の人がもうすでにたくさんいる場所になってきてる、のかな。
アメリカほどではないのかもしれないけど。
どんな国もやがて滅びるのかなーと思う。
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TITLE: 『読まず嫌い』
AUTHOR: シキ
DATE: 10/12/2009 01:09:49
STATUS: Publish
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BODY:
『読まず嫌い』(千野帽子/角川書店)

余は如何にして読まず嫌いになりし乎

という前書きがあるように、かつてミステリやSFや純文学、「名作」と
呼ばれているものが嫌いだった、読まず嫌いだった、という著者が、
ある時小説の面白さに目覚め、いろんな本を読むようになり、「名作」と
和解をしたり係争中だったりします。
という、読書案内?な感じの本書。

「文学臭」というものが嫌いだった、というだけに、とりあげている
さまざまな小説、名作を、文学的で素晴らしい、ってなことで褒めたりは
決してしてない。
こんなのがあるよ、こんなのもあるよ、って、丁寧に著者なりの読みを
記している。

私が読んだことがあるのも少しはあったけれども、知らないなあというのが
多数で、へ、変態だ、変態だ、とわくわくしたりもしつつ。
ミッシェル・トゥルニエの『魔王』。少年への偏執、変態、ナチ。どんだけー。

でもやっぱりううーん、文章が苦手。。。
ネットのブログで読めばふーんとすんなり読む文章かもだけど、本で読む
分には、なんかすごく違和感が。
私の、本とネットは違うとかいう思い込み、思い入れのせいでまったく個人的
好みにすぎないい。私の好みじゃないなーというだけなんだけど。

面白そうと思う本も多々ありつつ、でもこの本で紹介されてるから私は
好きになれない可能性が高いかなあと思ったり。
「学校」のところで紹介されているのは、少年愛の世界っぽいところが
多々ありそうな小説が多くてわくっとした。全然読めてないわー。いろいろ
あるのね。
ムジールの『寄宿生テルレスの混乱』、トーマス・マンの『トニオ・グレーゲル』、
カロッサの『青春の変転』、伊藤整『若い詩人の肖像』
いつか読む時がくるかなあ。

たぶん出会うべくして本とは出会う。今まで何度も、今読んでよかった、と
今まで手を出さなかった本にふと手を出す時が来る。体験的に私も知ってるし
たぶん多くの人がそうだろう。
千野帽子さんの本は毎度ながらとっても装丁が可愛くて素敵。それにひかれて、
今まで知らなかった読者が手にとって。本の世界に嵌るといいのかもしれない。
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TITLE: 新書2冊分。
AUTHOR: シキ
DATE: 10/09/2009 18:41:36
STATUS: Publish
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BODY:
新書、2冊分。

『偽善エコロジー』(武田邦彦/幻冬舎新書)

「環境生活」が地球を破壊する
というサブタイトル。

レジ袋をやめたってエコじゃない。むしろレジ袋に利用できていた石油部分
の無駄になる。エコバックをつくるほうがもっと石油使っちゃう。
割り箸は間伐材の有効利用なのだから、国産の割り箸を使うこのほうが森を
守ることになる。分別のゴミはあまりリサイクルされてない。家電リサイクル
も中古に違法に流れている。
などなどなどなど、エコ、という名目のもとに喧伝されているものは本当は
どうなのか、という話。
エコ、っていうのはつまりエコビジネスなんだなー。
それが名目ほどの効果をあげているわけじゃないのか。と、なんとなく、エコ
っていってもなあ。。。と微妙にぼんやりしている自分としては、この本を
鵜呑みにしてっていう気もないが、エコだからどうこう!って熱心に何事かを
やり始めたりもしない。。。という。ゆるーい感じです。
なんでも鵜呑みにはできないよなあ、と、よくわからないなりになんとなく保留
にしつついろんな物事を受け入れたり考えたりしたい。
今スーパーへの買い物にはマイバック持参していってるけど、それはスーパーで
レジ袋をもらうと確実に、2円とか5円とか、お金に絡んでくるから。エコの
ためにどうこう、ってわけじゃないんだよなあ。。。エコって何がどうなのか、
まだ結果とかあまり見えないし規模が大きすぎる話だったりして(地球環境が、
とかって、そんなにピンとこないよ。。。)何が正しいとか、言えない気がする。
どうなんだかなあ。

『2階で子どもを走らせるなっ!』(橋本典久/光文社新書)

近隣トラブルは「感情公害」
というサブタイトル。

別に今自分が近隣トラブルに悩んでいるわけじゃないけれども、なんとなくこういう
の、知ったほうがいいのかも、と思って読んでみる。
近隣トラブルには、当事者同士の話し合いはこじれるばかりなので、適切な第三者が
間に入ることが大事、と。
警察とかたんなるお役所では難しいのではないか、と。
ほんとにここで提唱されてるような、トラブル話し合いセンターみたいなのができる
といいね。
社会が変わって、不安があって、ガマンとか話し合いとか通じなくなるご近所、とか。
やっぱり社会が悪いのか。
お互いが被害者。お互い様の精神をなるべく忘れないようにー。
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TITLE: 映画『空気人形』*内容に触れてます(その3)
AUTHOR: シキ
DATE: 10/06/2009 16:29:20
STATUS: Publish
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BODY:
*下↓その2からの続き

どうして彼女は持ち主を好きにならなかったんだろう。
人形をあんなに大事にしていたのに。
でも、人間がめんどくさくて。人形だからこそ大事にしていたから。心はいらない
と思っている持ち主だったから?
イケメンじゃないからかー。
順一は。
でも、順一も、からっぽだった順一も。ほんとうに彼女を愛したのか。
空気を抜きたい、といった順一は。マニアック。。。でも、そんな風に、いのちを
確かめたのかもしれない。
そんな風にいのちを確かめることのできる彼女を、愛して求めたのかも。

あの街で暮らす幾人かの人たち。
みんな寂しかった。
たぶん、生きている人、みんな寂しい。老人のことばは正直なことばだったの
だろう。みんなからっぽだよ。と。
でも、みんな人形なんじゃないんだよ。人形である彼女にわからなかっただけで。

うまくしゃべれなかったり、すこしたどたどしい動きも。
いろんなものを見つめる目。順一に教えられることを熱心に聞いて、でも、
難しい、っていう彼女。
自分の中に吹き込まれた順一の息を愛おしむ彼女。
安っぽい、でもきれいなきらきらを集めてかこまれる彼女。
もー。ほんっと、ペ・ドゥナ、完璧に人形できれいで可愛い。可愛い。
監督が彼女のファンでオファーしたってことだそうで。ああもうそうだろう
そうだろう。彼女ほんっと可愛いきれい。なのにぱーんと脱いで見せてくれて
性欲処理の人形、なんて役を。そして彼女だからこそ、そんな役なのにこんな
にきれいで可愛い。切ない。
心を持つのは、切ないということを、すんなり届けてくれる。

見に行ってよかった。映画だ。さすが映画だ。
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TITLE: 映画『空気人形』 *内容に触れてます(その2)
AUTHOR: シキ
DATE: 10/06/2009 16:28:08
STATUS: Publish
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BODY:
*下↓ その1からの続き

心を持つのは、切ないことでした。
という寂しさ。からっぽなままの空気人形。でも、心があるのに。
持ち主の性欲処理人形であることを心が拒否するようになり、ひっそりと押入れに
隠れる。それでも、別の人形をむかえる持ち主に、詰め寄らずにはいらなれない。
心が、あるから。
めんどくさいんだよ、っていうのは、酷い。心を持った相手に対して。
でも、人間が、めんどくさいんだよ、っていう、そのセリフはまた痛いほどわかる。
どんなに寂しくてもイタくても、人形だから安心して愛することができたのに、と、
いうことなんだろうな。人形だから、愛したい。

順一のバイクの後ろに乗って、ヘルメットをかぶって。でも部屋へ行った時に
おそらく昔の彼女の写真を見つけてしまう。あのヘルメットをかぶっている彼女
の写真を。順一にとっても、代用品なんだろうか。
いい人そうだったのに、ビデオ屋の店長に卑怯なもちかけをされてまた性欲処理
の道具になる。道具に。
さまよって、さまよって。
ついに順一のところで、人形であることを受け入れて、代用品じゃなくて、
彼女にしかできないことを、求められる。

人形の体に息を吹き込む。
ほんとうに素敵なエロスだった。空気人形な彼女が。ほんとうに空気が抜けていって
また膨らませられて、という感じ。素晴らしい。
でもとても哀しい。
空気人形。それは苦しいのに。でも、たぶんセックスはいつも苦しい。哀しくて
寂しくて抱き合うのだろう。
からっぽで、まっすぐひたむきに、疑いをもたず受け入れた彼女が哀しい。
なにもわからないまっしろな心だったのが哀しい。

空気人形は、心を持たないほうがよかったのか。
あんな切ないこころを、持ってしまわないほうがよかったのか。
でも、人形のままでも、たぶんこころは、あるんじゃないかな。
って、性欲処理人形をつくった人形師は言う。
人形は、愛されもするし、ただのモノとして捨てられもする。
生命は。
という詩が引用され彼女に朗読される。生命は、自分自身だけでは完結できない。
たぶん心をもってしまった人形は、他者に、愛されたとき、生きるのかもしれない。
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TITLE: 映画 『空気人形』*内容に触れてます(その1)
AUTHOR: シキ
DATE: 10/06/2009 16:25:40
STATUS: Publish
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BODY:
映画『空気人形』

性欲処理の代用品。空気人形。
心を、持ってしまいました。

なんだか気になって見に行きました。主役が、性欲処理の代用品の空気人形です。
って、凄いなどんなんなんだ??と。
冴えない中年男。空気人形に服を着せ、シャンプーを買い、食卓に向かい合って
今日の出来事をおそらくささいな見栄を張りつつ語る。何も答えない人形と会話
を交わし、狭いボロい部屋の天井にプラネタリウムを映して見詰め合う。
のぞみ、と名づけた空気人形に、きれいだとささやきながらセックス。あとから
淡々と、「その部分」を人形から取り外して、洗う。

うわあああああああああああああああああやめて。
モテナイ人間の見てはいけないところを見てしまう感じ。うううわわああああ。
そんなリアルにそんなにも寂しい。痛い。心が痛い。そんなところを見せないで
くれ、と、ぐっさりくるのは、私もモテナイ哀しい人間だからだろう。

ある日、空気人形がゆっくりと動き出す。雨上がりの雫を、「キレイ」と言う。
キャスティングの勝利だなあと思う。映像の。きれい。人形だったのぞみが
人間のようになって。動き出し、出かける。
メイド服姿が可愛いの何の。ほそい手足。きれいな体。ふわふわ。彼女の中に
つまっているのは空気。
心をもってしまった彼女は、恋をする。嘘をつく。嫉妬する。寂しくなる。
からっぽの人形である自分。代用品の自分。なにもない自分。
それでも、からっぽだよ、と話をする老人の、きっとこの町の人はみんなそうだよ。
ということばを、ことばどおりに受け止めてしまう。
ビデオ屋でバイトをはじめ、ふわふわした服を着たり、安いおもちゃのきらきらの
指輪を買ったり。海辺でラムネのビンをひろったり。恋をして、順一といて、
彼女なりのきれいなものをたくさん拾い集めて。
ハプニングで腕に怪我を、つまり、腕に穴があき空気が抜けたとき、順一が穴を
ふさいで息を吹き込む。
同じだよ、という順一のことば。
からっぽなんだ。
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TITLE: 『さようなら窓』
AUTHOR: シキ
DATE: 10/05/2009 15:48:54
STATUS: Publish
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BODY:
『さようなら窓』(東直子/マガジンハウス)

きいちゃんはゆうちゃんのところで暮らしてる。
居候、というのが一番正しいのか。ゆうちゃんは美容師。きいちゃんは
大学を休学して今は何もしてない。
きいちゃんは夜に眠れない。
ゆうちゃんがお話をしてくれる。
無理しなくていいよ、と言ってくれる。
きいちゃんはいろんなことがちゃんとできなくてうまくいかなくて
ゆうちゃんに甘えてばっかりじゃダメだ、って、思ってる。
ゆうちゃんのお話はやさしくて、ゆうちゃんはやさしくて。

ふわふわとやさしくてやわらかくて、でもその中には哀しみも少し。
ううーーー。
しかし私には、これが素敵とかいいとか好きとか面白いとか言うのは無理だ。
きいちゃんみたいなタイプの女の子のお話は無理だ。無理だ。。。
いくら二十歳くらいの設定とはいえ。ううう~。
こういうのいいなあ。こういう女の子がいいなあ、って思う女の子が
可愛い女の子なんだろうか。。。うー。無理や。
うまくなじめないとか、つらいとか眠れないとか、でもひとりでがんばった、
とか。
泣いた赤鬼 とかで熱心に語るとか。パン屋さんで接客に挫折して黙って
やめたとか。家出して手をさしだしてくれたゆうちゃんを好きになってとか。
エピソードのひとつひとつ、なにもかもすべて、きいちゃんがもうほんと
私には無理なタイプの女の子だった。
東さんの描く世界って、素敵だけど無理だなあ~と思ってたけど、
これは、恋愛的要素が大きいというのもあって、すんごく無理だった。。。
あー。
もちろんお話だからさ。
勝手にバイトやめるとかどんだけ迷惑なんだよとか、そういうのにつっこむ
ことはしなくていいんだ、って、わかってるけど、そういうのが気になる私。
どんだけゆうちゃんに甘えるんだよとか、ゆうちゃんもどんだけ甘いんだよとか、
そゆこと思わずに、いいな~あまあま、とか思ったほうがいいんだろうけど。
甘えんなよーー。ゲンナリ。。。と、なってしまう。
自分が甘えさせてもらえなかった恨み僻み根性なんだろうなー。ハズカシイな私。
ダメだ。。。

まあなんていうか。この本は図書館でYAのコーナーにありましたが、
ローティーンのころとかに、こういうの読んだりして、ふわふわ可愛い女の子
になるといいね。
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TITLE: 『エデン』
AUTHOR: シキ
DATE: 10/03/2009 20:54:00
STATUS: Publish
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BODY:
『エデン』(五條瑛/文春文庫)

亞宮柾人はストリート育ち。
捕まって特別矯正施設送りとなった。
しかし、送られたのは見たことも聞いたこともないK七号施設。
もっとも新しいタイプの特別矯正施設。入所者の人権を重んじる。
思想犯ばかりが集められたところに、何故か放り込まれたのだった。

文庫になったのでまた買ったぜ。
面白い。

見せかけの楽園。
思想にがんじがらめになった中で、本能を研ぎ澄ませて生きている
亞宮の存在。

かつて、日比谷暴動で、ひとりのカリスマがいた。その男に、魅せられた
のは暴動を起こした側だけではなく、取り締まる側もだった。
なんのためにこの施設があるのか。
亞宮の存在は。

カウンセラーの宇津木さんがすきー。亞宮も。
思想犯たちが亞宮にめろめろになっていくのも。
別になにひとつエロいことが起こってるわけじゃないのに、なんでしょう
このエロス色気メロメロっぷりは。
男が男に夢中になる。カリスマに率いられるのでも、憎悪するのでも。
それってなんて色っぽいんだろうー。大好き。
五條さんはそういうのが極上に上手い。大好きー。
もっともっと。もっと書いてほしい。続編とかサイドストーリーとか
書いてくれたらいいのになー。文庫書下ろしのおまけに期待したけど
なかった。残念。
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TITLE: 『長崎くんの指』
AUTHOR: シキ
DATE: 10/02/2009 21:46:54
STATUS: Publish
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BODY:
『長崎くんの指』(東直子/マガジンハウス)

わたしは家出をしていた。
ふらふらとたどりついた「コキリコ・ピクニックランド」に住み込んで
働くことにする。
住めばいいんじゃないんですか。
と言ってくれた長崎くん。
一目で長崎くんの指が大好きになった。長崎くんの指。指。指が好きだ。

短編集、かな。連作短編、というか。
6つのお話。共通して「コキリコ・ピクニックランド」が出てくる。
お話がつながってるわけではなく。
最後に書き下ろしで、「長崎くんの今」があって、そこはかとなく続き、って
ことかな。
あとがきにかえて、も、ショートショートって感じの「夕暮れのひなたの国」
だから、お話7つ、というべきか。ひなたの国にはピクニックランド出て
こないけど。

どのお話も淡々としていいて、優しくて、あっさりストンと置いてかれる
ように終わる。
えー。どうなったのー。なんだったのー。どうなるのー。
と、お話が終わるたびに、えっと~、と、ちょっと一人で悩んでみる感じ。
でも厭な感じはしなくて、ちゃんと明るいところにいる感じがする。
東さんの短歌の味わいと同じテイストかなあと思う。
ふわっとしててやさしくてひかりのあったかさとかあって不思議さがあって
なんだか素敵、と思わせる。

長崎くんは、「くん」付けだったけど、大体において登場人物たち、
「さん」付けなのが好きだ。こういう距離感の感じはかなり好きだ。

指が好きになる、とかいうのはうんうんうんうん。
好きになる指とか手とかあるよね。手が素敵な人っていい~。惚れる~。

みんながふわふわしたところにいるみたい。この場所にこの時だけしか
いないみたい。夢の中みたい。そういう不思議さ。誰もドロドロしてない
なあ。そういうところがすこーーーしだけありながら。かわしてるなあ。
すいすい。
読んでみてよかったです。
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