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2010年7月

TITLE: 『1Q84』
AUTHOR: シキ
DATE: 07/30/2010 17:04:33
STATUS: Publish
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BODY:
『1Q84』BOOK1、2、3(村上春樹/新潮社)

青豆、という変わった苗字を持つ女性。
天吾は小説家志望の塾講師。
ある出来事をきっかけに、月が二つある世界にいることに気付いてしまった
彼女、彼らの物語。
 
1と2が出た時、去年ですね。あまりにも売り切れ売り切れという評判に
踊らされてまんまと買ってしまったワタシ。その時に読んだけど、感想を
書かずにいたな。たぶんこれは3が出る、と思った。しばらく3が出るか
どうか秘密、だったようだけど、まあ案の定今年の春に3が出た。その時
に買って、わりと最近3読了。また1から読み直したほうがよかったのかも
しれないけれども、まあそれはそれで、忘れているなりにもすんなり読めた。
3は、随分ずばりそのものこれまですれ違ってしまっていた二人の再会まで、
という、ストレートな恋愛物語だったなあ。1と2の時のような、どこか
不気味な、闇の存在、不思議な世界、宗教がかったところとか、謎の美少女
とか、そういうことは終わった感じで。青豆はひたすら身を潜め、天吾との
再会を願い、待ち、そして出会ってもとの世界へと二人で脱出する。そこが
本当にもとの世界なのかどうかということはわからなくても、二人でいる、
そのことが何よりも大事、という。まっすぐな恋、あるいは愛の結末。かな。
もうちょっとその、ふかえりのこととか、空気さなぎとか、小人がほうほう、
とかの怖いところをどうにかするのかと思った期待を持ってたけども、それは
なんかもうそのままだったなあ。よくわからない。よくわからない存在、って
ことでいいのか。んー。
世界の終わりから戻る物語になった、ってことかなあ。
また山のように研究読本みたいなのが出るだろうから、そのうち気が向いたら
読もうか。
牛河さんがなんかとばっちりで気の毒だなあ。
牛河さんは、別に悪人じゃないだろと思うけど。まあ、悪人じゃなくても
都合が悪ければ殺されちゃうってことはあるな。気の毒だ。むしろ青豆
のほうがずっと悪人だよな。自分の信じる正しいことのためとはいえ、殺人者だ。
いいのかなー。なんとなく青豆と天吾を祝福する気にはならない。
ま、村上春樹作品の人物に感情移入することはこれまでもなかったのでそれも
まあやっぱり村上春樹作品だよなという感じ。読みやすく面白かった
でも好きではないという相変わらずな感じだった。
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TITLE: 『連句遊戯』
AUTHOR: シキ
DATE: 07/27/2010 11:12:03
STATUS: Publish
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BODY:
『連句遊戯』(笹公人 和田誠/白水社)
 
歌仙を巻く、というのは憧れだ。
ものすごく細かく決まりごとがあって大変そうだし、その場の雰囲気なんかを
受けて自分の発想が試される、気がする。大変そう。
でもその場、っていうのはすごく楽しい、面白いものなんじゃないかと憧れる。
 
とはいえ、歌仙ってなんだかよくわからない。
この本は、二人でやった、ファックスでのやりとり、だそうで、なんていうか、
昔ながらのイメージ(って私のイメージもなんかもやもやでなんも知らない
んだけど)とはちょっと違うのかもな、という感じ。その場でわいわいやる、
っていうのとは違って考える場は個人個人なんですよね。
作品を読むと、そう受けるのかーとか、その発想は何?何故?と、すごく
面白かった。時事的なこと風俗もどんどん出てくるし、でももちろん素晴らしく
素敵な詩的表現にも参るし、SFっぽかったり馬鹿馬鹿しいっぽい遊びもあったり
和田さんの交友関係なんかを想像しちゃったり、と。
決まりごとがすごく多い中でやってるのに、すごく自由に見えて面白い。
決まりごとがある、っていう上での自由さ、ってあるよなあと思える。
 
後半には解説対談で、そういう風に句を作っていったのかーというのを読める
のもすごく楽しい。自分の読みとは全然違ってたりするのも楽しい。いいですねー。
大変そうだけどやってみたい気がしてくる。いやでも大変なんだろうけど。

とっても好きだった句をいくつか。

 (恋) お仙恋し横尾画伯の絵の中の     笹
 (雑)  天井桟敷に舞う紙吹雪       和

 (恋) 花図鑑埋めて校庭しずかなり     笹

 (春) 止められぬ雪崩のごとくボレロ弾く  和
 (雑)  切れた弦から生まれる蕾      笹

  
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TITLE: 『インディヴィジュアル・プロジェクション』
AUTHOR: シキ
DATE: 07/20/2010 15:17:50
STATUS: Publish
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BODY:
『インディヴィジュアル・プロジェクション』(阿部和重/新潮文庫)

「ぼく」は渋谷の映画技師だ。とはいえ、アルバイト。人とあまり会わなくて
すむ、という理由でこの仕事に満足している。
ぼくはとある塾で鍛錬してきている。今はひっそり身を隠すつもりでいる。
だが、事件なのか事故なのか。かつての仲間が死んだことを知る。
ぼくは狙われているのか?ぼくは騙されているのか?
 
日記形式。
当然ながらぼくの一人語りなので、終わりのほうにいくにつれて、
何が本当なのか。ぼくの認識や自意識は正常なのか??と、混乱していく。
騙されているのか?
私が?
と、なんかあんまりすっきりしない。最後の最後に、「感想」があって。
えっとーこれは?と、いっそうよくわからなくなって終わる。M、って
ほんとうにマサキさんなの?
 
解説が東浩紀だ。でもなんか著者との思い出話が書いてあって、つまんね。。。
んー。
まーなんか別にこの小説の批評だかは書いたそうなんだけど。そんなのいちいち
探して読むかよ。いやえっと、どれかの中に入ってるのかなあ。そのうち読む
のかも。
 
渋谷系文学、みたいなことを言われたことがあったのだろうか。これが?
この小説の初出は97年だそうで。渋谷系音楽みたいに言われて頃とかなのかな?
J文学とか?J文学、は、なんとなく聞いたことあるけど、渋谷系文学って
知らなかったなあ。
。。。文学って。
なんかそういうのがオシャレデステキだった時代なのかなあ。リアルタイムで
読んでいたらハマったのかなあ。
今読んで正直私には面白さとかよくわからないし、好きにもならなかった。。。
もうちょっと有名な代表作的なものを読むべきか。。。そのうち気が向いたら。。。
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TITLE: 『ケルベロス第五の首』
AUTHOR: シキ
DATE: 07/11/2010 10:51:24
STATUS: Publish
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BODY:
『ケルベロス第五の首』(ジーン・ウルフ/国書刊行会)

地球からおよそ20年かかる星。双子惑星、サント・クロアと
サント・アンヌ。
地球からの殖民によって人類がいる。現地人がいたはず、だか、
今はいない。いない、はず。

SF、か。最初は、その地で名士とされている館の少年の手記。
次は神話のような。次は、人類学者の手記の断片。3つの中篇、
のようであり、でも大きな一つの物語でもある。

最初はなんだかよくわからなくて。がんばって読み進めていくと
なんとなく世界が見えてくる感じ。面白い、とまでは私は言えない
なあ。不思議というか。面白いよ!といえるほど私の理解が及ばない
感じ。幻想的というかで、なんだろうなんだろうこれは。と、飽きずに
ゆっくり読めてよかった。
場面転換になかなかついていけなくて、ゆっくりしか読めない感じ。
文章に振り回されるくらくらを味わうというか。
ろくに感想も書けないなあ。
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TITLE: 『未来のイヴ』
AUTHOR: シキ
DATE: 07/09/2010 19:12:40
STATUS: Publish
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BODY:
『未来のイヴ』(ヴィリエ・ド・リラダン/創元ライブラリ)

無常ヲ観ジテ以テ永遠ヲ探求セヨ

夢見る人々に
嘲笑ふ人々に
 
メロン・パークに住んでいるエディソンが住んでいる。電気の魔術師。
そこに訪ねてきたエワルド卿。かつて貧しかったころのエディソンを救った
恩人である青年貴族。彼は恋の病に深く陥っていた。理想の女性とめぐりあった
のに、彼女の魂を愛することができない。彼女の魂を彼女から抜いてくれたら、
という嘆きに、エディソンは答えた。人類の理想。未来のイヴを創ることが
できます!
 
フランスで一八八〇年に世に出た物語。人形愛の古典、かな。
正漢字、旧仮名遣いを堪能して少しずつ読みました。
ハダリー。理想の人造人間。
エディソンが延々とエワルド卿に、理想の人造人間をどう創り上げるか、
それを受け入れる覚悟があるか、語りあう、というのが大部分。
人造人間を愛する、というのは、そんなにも受け入れがたいことなのだろうか、
と、今読むと私は不思議に思うけれども、そういうSFっぽい感じ?が
驚くべき奇怪な作品、であった時代なのかなあと想像。もっとたくさん、
ハダリーとエワルドが語り合ったり暮らしたりするところをもっと見たかったような。
でもそこにいたるまで、というのがドラマかなあ、と、これはこれで納得するような。
ハダリーを生み出すことに、いつか現実が追いつくだろうか。バーチャルな部分で
言えば、もうかなり出来上がっているかもしれないなあと思う。
ラブプラス?と思うと一気に身近(って別に私はやったことないけど。イメージ)
な気分。魂なんていらない。かなー。いるかなあ。うーん。個人的には、理想の
人形と暮らせるならそれで素晴らしく幸せになれる気がする。叶わない夢こそ
美しい。
 
前々から読んでみたかった本なので、とにかく手に入れて満足した。
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TITLE: 『死ねばいいのに』
AUTHOR: シキ
DATE: 07/06/2010 17:23:07
STATUS: Publish
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BODY:
『死ねばいいのに』(京極夏彦/講談社)
 
一人目、から、六人目。
死んだアサミのことを聞きたい、という男と話をするそれぞれの人物。
―死ねばいいのに。
そのセリフはなんの引き金になったのか。

うーん。これは、一応、ミステリ、みたいなものなのかな。
一応、殺人事件。その被害者の関係者たち。犯人が最後にわかって、
その動機が最後に語られる。という感じ。でもまあ、あんまりミステリ
って感じとかではないというか、そういうのじゃなくて、というところか。
うーん。
京極堂シリーズの、大鷹とかいう、たぶん。えーと、なんかそう。邪魅の
時にこんなようなキャラがいたかなあとちょっと連想。もちろん違うけれど。
俺バカだから。っていいながら相手の苛立ちを誘いどんどん喋らせていく。
なんだか厭な味わい。
 
厭な小説 といい。なんでこういう厭なところを延々と書くのだろう。
京極さんのこのタイプの話はやっぱり厭なので、ふーん、とざくざく読みきった。
厭な感じに書いているのだろうから、狙いどおりなのだろうけど。どうして
こんな厭なことを、厭なところを、たっぷり書くんだろう。人間は厭なものだ。
とかって陳腐なことなわけじゃないと思うんだけど。
やっぱり。厭なのは厭だなあ。
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