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静かに降る

 「静かに降る」              千坂麻緒


 乗継ぎのあいまに開く本重く『モモ』になりたい私である

 駅員は冷たくていい駅員は時間を気にしていつも灰色

 制服にきれいな折り目月曜日駆け上がってた始発のホーム

 毎日がだまったまんま過ぎてゆく 発車のベルの時に目があう

 夏服に着替える日付けを決められてにっこり笑う 安心デスカ?

 朝9時に3番出口で待ち合わせいちばんにばんさんばんでぐち

 海へゆく電車の床に海の砂たちまち溺れそうな私

 開かない窓に流れる景色には緑のあとにバーーーーーッと、海

 送るから あなたはちゃんと私をまちがいなしの電車に乗せた

 まっくらで窓には自分の顔ばかりここは地下鉄ここはさみしさ

 終電に無口の無数の乗客と世界を切り離して本読む

 振動が眠りを誘う読みかけの本に栞をはさむ間もなく

 枕木のあいだに赤茶色の石3472個が

 もうすでにデリダの死んだ後の世かジャック惹句の壊れたおもちゃ

 あまりにも静かですから 見渡してホームの端から雨にさわった

 私がだんだん強くなるみたい 先頭車両でレールを見つめる

 電流が流れているの?どのくらい?パンタグラフに接する痛み

 新しい鞄を買ったことなどを控えめにきりだしてみる朝

 不機嫌な顔の女 あ、と思う あれは鏡の中の私

 地下鉄の窓の意味とはなんですか?ひとりのわたしをうつすためです

 帰ったらまだあと一個きのうから残ったヤサイコロッケがある

 空き缶がたまるキッチンきらきらの孤独の味はみんなのどこし

 深爪をまたしてしまう静かなる痛みをひとり味わっている

 もうずっと鳴らない電話時々は君のことただ考えている

 夕暮れの踏切に立つ轟々と光を放つ匣の轟き

 取り消せる過去ならよかった牡牛座の君の誕生日が削除キー

 白々と夜明けのレールにさわったらこの熱病はさめるでしょうか

 水色の夢ばかり見る嘘ばかりつき続けてる私がいる

 海からは遠い町です言葉にはしてはいけない約束がある

 真夜中の救出作業高く高く光の柱空へ突きさす


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第41回短歌研究新人賞候補作、になったものです。
うーーーー。30首はやっぱ耐えられないかも。。。
うれしいけどでもすごくダメな感じがする。ハズカシイ。
これからもがんばるー。がんばれー。自分ー。
御意見御感想いただけるとさいわいです。

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なんでしょう

これは天井に向かって撮った写真です。
棚の上に猫がいて、足と耳がちょっぴりはみ出してるの。
いやー。だからなんだといってもナンデモナイんだけど。
まあつまり猫可愛い〜♪
と、それだけです。ハイ。050814_013601.jpg

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未来7月号

「音楽はいらない」   千坂麻緒

人形を抱くように抱く 僕のこと愛しているともっと騙して

薬指の外していない指輪とか静かに僕を傷めつけてて

青空が嫌いになったあなたからもう逃げないと誓ってからは

何よりも淫らなものを僕のため選んでくれたブーゲンビリア

ほんとうは嫌いだろうと囁いてあなたは後ろからして笑う

後戻り出来ない場所へ行きたいと望んだのはそう僕の方から

嫌いだと知ってるくせにゆっくりとあなたは煙草に火をつけるのだ

ソナタからコーダを落す永遠を信じることが僕には容易い


8月になってしまいましたが、未来7月号より。
6月号と対の連作、です。一応。。。

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